DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されるにつれ、覚えておくべきDX関連用語が増加傾向にあります。
DX関連用語のひとつに「デジタイゼーション」があります。なんとなく聞いたことがあるものの、詳しくは説明できない方も多いのではないでしょうか。
今回は、DXに欠かすことができないデジタイゼーションについて解説し、DXとの違いや導入メリット、具体例についても紹介します。
デジタイゼーションとデジタライゼーションの違い
デジタイゼーションとよく似た言葉に、デジタライゼーションがあります。1文字しか変わらないことから、「違いがよくわからない」という方も少なくないでしょう。
似たような概念を持つ言葉ではありますが、微妙な違いがあります。ここでは、デジタイゼーションとデジタライゼーションには、どのような違いがあるのかを解説します。
デジタイゼーションとは
経済産業省が令和2年に発表した「DXレポート2 中間取りまとめ(概要)」では、デジタイゼーション(Digitization)は、「アナログ・物理データのデジタルデータ化」と定義されています。
つまり、デジタイゼーションは、アナログデータをデジタルデータに変換するプロセスを指す言葉です。デジタイゼーションによって、情報をより効率的に処理したり活用したりできるため、現在のデジタル化社会においては欠かせないプロセスといえるでしょう。
デジタライゼーションとは
「DXレポート2 中間取りまとめ(概要)」によると、デジタライゼーション(Digitalization)は、「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」と定義されています。
デジタイゼーションは、アナログデータをデジタルデータに変換するプロセスを指すのに対し、デジタライゼーションはデジタル技術を活用して、業務やプロセスを変革する言葉といえるでしょう。
DXレポート2 中間取りまとめ(概要)
DXとの関係性
デジタイゼーションは単純なデジタル化、デジタライゼーションはプロセスや業務自体のデジタル化、そして、DXはデジタル技術を活用した事業やビジネスモデルの変革を指します。デジタイゼーションとデジタライゼーションは、DXの実現に欠かせない要素であるといえるでしょう。
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デジタイゼーション導入のメリット
デジタイゼーションはデジタル社会において、必要不可欠なプロセスです。では、デジタイゼーションを導入することによって、どのような効果が得られるのでしょうか。
ここでは、デジタイゼーション導入によって得られる具体的なメリットを解説します。
業務の効率化
情報の管理をデジタル化することで、データの管理や作成、検索にかかる時間などを大幅に短縮できます。
これまでデータの管理に費やしてた時間と労力は、主要業務に充てることができ、業務の効率化が期待できるでしょう。
コスト削減
紙ベースで管理していたデータをデジタル化することで、紙やコピー代などのコストを削減できます。また、デジタルデータの電子メールやクラウドストレージなどで共有できるため、郵送や物流のコストの削減にもつながります。
ヒューマンエラーの削減
アナログでのデータ管理には、計算ミスや記入漏れといったヒューマンエラーがつきものです。しかし、データ管理をデジタル化すれば自動的に処理がおこなわれるため、ヒューマンエラーを削減できます。
正確で素早いデータ処理が可能となり、業務の効率化にもつながります。
DXの推進
アナログデータからデジタルデータに変換するデジタイゼーションは、DXに欠かせない要素のひとつです。結果的にDXの推進が促せることも、デジタイゼーションの導入のメリットといえるでしょう。
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デジタイゼーションとデジタライゼーションの具体例
デジタイゼーションやデジタライゼーションは、具体的なイメージを持つことで、より理解が深められます。
ここでは、デジタイゼーションとデジタライゼーションの具体例について紹介します。DXの成功事例もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
デジタイゼーションの具体例
まずは、デジタイゼーションの具体例からみていきましょう。
紙書類の電子化
紙書類のデジタル化は、最もイメージしやすい実例でしょう。
報告書や稟議書、パンフレット、カタログなど、紙ベースで管理していたデータを、PDFやWordなどに変換することで、デバイス上で共有することが可能です。紙の削減ができるだけなく、ファイルが検索しやすくなったり、書類の作成にかかる時間を短縮できたりなど、
業務の効率化につながります。
承認印の電子印鑑化
電子契約サービスを導入し、承認印を電子印鑑化することもデジタイゼーションのひとつです。承認印を電子印鑑化すれば、押印するためだけに出社したり、押印ができないことで業務が滞ったりすることもなくなります。
会議のオンライン化
新型コロナウイルス感染症拡大により、ウェブ会議ツールを利用した会議のオンライン化が急増しました。
会議のデジタイゼーションによって、参加者がひとつの場所に集まらなくてすみます。移動に費やしていた時間や交通費は不要となり、時間の有効活用や満員電車によるストレス軽減など、幅広く労働環境の改善が図れる結果となりました。
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デジタライゼーションの具体例
デジタイゼーションの次のステップである、デジタライゼーションの具体例についてもみていきましょう。
ECサイト
デジタル化が進む現代では、ECサイトを開設している企業はめずらしくありません。このデジタライゼーションにより、顧客は店舗に足を運ぶ必要がなくなり、自宅にいながら商品の購入が可能となりました。
受注から販売、決済まで自動的におこなわれるので、販売側の作業も最小限に抑えることが可能です。店舗の賃料や人件費もかからず、利益率向上が目指せます。
カーシェアリングサービス
カーシェアリングサービスとは、会員登録するだけで、最寄りのカーステーションにある車を必要なときに必要な時間だけ利用できるシステムです。予約や配車などをデジタル化することで、これまでのレンタカーサービスに比べて利便性が向上し、利用者も大きく増加しています。
RPA・IoTによる作業の自動化
現在、多くの工場では、作業の自動化のためにRPAやIoTの導入が進められています。
作業を自動化できるRPAを導入することで、人的コストやヒューマンエラーの削減につながります。また、モノとインターネットに接続し、遠隔から操作可能なIoT機器を導入すれば、作業のリモート化も実現可能です。これらとデジタライゼーションにより、業務内容の効率化が図れるとともに、作業の精度向上も実現しています。
DXの成功事例
デジタイゼーション・デジタライゼーションは、ともにDXを実現するために欠かせないプロセスです。実際にデジタイゼーション・デジタライゼーションのステップを踏むことで、DXを実現している企業は数多くあります。
DXの成功事例については下記記事で詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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デジタイゼーションを進める手順とは?
デジタイゼーションを導入したいものの、「どのような手順で進めてよいかがわからない」という担当者も多いでしょう。
導入に失敗しないためにも、デジタイゼーションを進める手順について解説します。
業務プロセスを可視化
業務内容が不明瞭では、どの業務をデジタイゼーションをすべきかがわかりません。まずは、すべての業務プロセスを洗い出します。
どのような業務内容なのか、誰がどのようなフローでおこなっているかなど、業務プロセスをできるかぎり分解し、可視化してみましょう。
デジタル化が必要な部分の洗い出し
業務プロセスを可視化した上で、デジタル化が必要な部分の洗い出しをおこないます。すべての業務がデジタル化できるとは限りません。中には、アナログで管理すべき業務もあるでしょう。
業務プロセスを確認し、デジタル化ができる業務とデジタル化ができない業務に仕分けし、デジタル化が必要な部分を正しく判断することが大切です。
業務をどのようにデジタル化していくのかを検討する
デジタル化が必要な部分が明確になったからといって、すぐにデジタル化に取り組むことはできません。どのようにデジタル化していくのかを、さらに細かく検討しましょう。
どのようなデータが必要なのか
デジタイゼーションに必ず必要となるのがデータです。データといっても数多くのファイル形式があり、それぞれに特徴があるため、運用と環境に応じた形式を選択しましょう。
既存のデータはどの形式でデジタル化するのか、これから新しく作成する書類はどの形式で保存するのかなど、どのようなデータが必要なのか検討します。
どのような手順で作業していくのかを決める
次に、どのような手順でデジタル化を進めるのかを決めましょう。手順が定まっていない場合、作業する人によってバラつきが生じる可能性があります。
既存書類はどのような手順でデータ化するのか、データ化したものはどのような手順でデータベースに保存するのかなど、デジタル化のマニュアルを作成するとよいでしょう。
データや素材をどのように処理していくのかを決める
デジタル化したデータを活用するためには、どのような処理をするのかも重要です。ファイル名やフォルダ名はどのように付けるのか、日付はどの表記を統一するのかなど、ルールを決めておきましょう。
ファイル名を統一することで、データの検索性や一覧性を高めることができるでしょう。
データや生成物の管理方法を決める
データを適切に管理できなければ、デジタル化した意味がありません。保存するルールだけでなく、履歴として残す期間や削除方法など、データを適切に管理するルールも決めておきましょう。
担当者や責任者を決める
デジタル化したデータの管理には、定期的なメンテナンスが必要です。また、システム障害などのトラブルが発生する可能性もあります。あらかじめ担当者や責任者も決めておくことで、スムーズな対応ができるでしょう。
デジタル化に向けたツール・サービスの導入
デジタル化が必要な業務や作業が明確になったら、必要なツールやサービスを検討します。どのような機能が必要なのか、予算や拡張性なども考慮しながら、複数のツールを比較するようにしましょう。
デジタイゼーションの実行
どのような作業を、どのような方法でデジタル化するかなどが整理できたら、いよいよデジタイゼーションを実行しましょう。
デジタイゼーションは実行して終了ではありません。導入してどのような効果があったのか、どのような問題が発生したのかを定期的に評価し、必要に応じて改善をおこなうことで、より効果的なデジタイゼーションがおこなえます。
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デジタイゼーション推進のポイント
デジタイゼーション推進のポイントは以下です。
- 業務の優先順位を明確にする
- 組織全体で取り組む
- 現場の声を聞く
デジタイゼーション推進によって、通常業務が圧迫されてしまっては元も子もありません。まずは、業務の優先順位を明確にし、スモールスタートから実行するとよいでしょう。
また、同じ業務内でアナログデータとデジタルデータが混在してしまうと、混乱を招く原因となります。デジタイゼーションは組織一丸となって取り組み、成果の最大化を目指しましょう。
とはいえ、デジタイゼーションを強引に進めてしまうと、実際にツールやシステムを操作する現場から反発の声が上がる恐れがあります。
作業はどのような手順でおこなっているのか、どのようなツールなら使いやすいのかなど、現場の声を参考にすることも、デジタイゼーション推進の重要なポイントといえるでしょう。
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まとめ
デジタイゼーションなくしてDX化は成功しないといっても過言ではないほど、デジタイゼーションはDXにとって重要な要素です。
DX化が進まないと悩んでいる企業は、まずはデジタイゼーションからはじめてみてはいかがでしょうか。小さなステップを踏んでいくことで、企業のDX化も確実なものになるでしょう。
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