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積極的なDX推進に取り組みたいものの、どのように進めていけばよいのかわからない企業も多いのではないでしょうか。そこで、経済産業省は2018年に、企業に対してDXに取り組む際の指針や心構えをまとめた「DX推進ガイドライン」を公表しました。

今回の記事では、DX推進ガイドラインの概要やDX推進時におけるポイントに関して解説します。ぜひ、参考にしてください。

DX推進ガイドライン・デジタルガバナンス・コード2.0とは?

DX推進ガイドラインとは、2018年に経済産業省が企業がDXに取り組む上で必要となるプロセスや指針を取りまとめたものです。企業がDX推進を本格化するためには、経営者の理解やITシステム導入するための知識や体制構築が必要になります。

DX推進ガイドラインは、企業が自社のDXの取り組み度合いを確認するためのガイドラインとして活用することが目的です。DXを進める上で経営者が押さえておくべきことやシステム構築方法などが明確に示されており、企業のDX推進を加速させる役割を果たすことが期待されています。

DX推進ガイドラインは、DX推進における経営者に求められる対応をまとめたものである「デジタルガバナンス・コード」と統合、改定され、2022年9月に「デジタルガバナンス・コード2.0」として公表されました。

デジタルガバナンス・コード2.0

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DX推進ガイドラインが作成された背景

経済産業省がDX推進ガイドラインを作成した背景には、2018年9月に公表された「DXレポート」中で記載されている「2025年の崖」と呼ばれる経済危機が挙げられます。

「2025年の崖」とは、日本の多くの企業が古くから使用してきたシステムやビジネスモデルであるレガシーシステムから脱却できずにいる場合、2025年には年間最大12兆円の損失が生じてしまう問題のことです。

この2025年の崖に直面しないためにも、自社の課題の明確化や戦略の立案など、DX実現におけるアクションの認識共有を図ることができるよう作成されたものがDX推進ガイドラインになります。

また、日々変容するビジネス環境に対応し、競争力の維持や強化を図るためにもデジタル技術を活用した企業のビジネスモデル変革が求められます。今後直面しかねない経済危機や、ビジネス環境に柔軟に対応するためにも、国を挙げてDXに取り組んでいくことが求められているのです。

DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

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DXレポートとは?

DXレポートとは、経済産業省で設置された「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」での議論をまとめた資料のことです。2018年9月に「DXレポート〜ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開〜」が最初の資料として発行、2023年7月現在、3種類が追加され計4種類のDXレポートが公開されています。

先述した「2025年の崖」問題の説明や、日本企業のDXの取り組み状況を踏まえ、企業の具体的なDX推進の方法論が紹介されているので、確認しておくとよいでしょう。

DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

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DX推進ガイドラインの構成内容

DX推進ガイドラインは「DX戦略のための経営のあり方、仕組み」、「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の大きく2つの要素で構成されています。

また、これら2つの要素に関しては、DX推進指標に基づいて自己診断を行うとよいでしょう。下記のサイトは、実際に各企業が行った自己診断結果をまとめたものです。

DX 推進指標 自己診断結果 分析レポート (2021 年版)

それぞれの構成要素に関して詳しく解説します。

DX推進のための経営のあり方、仕組み

DX推進のための経営のあり方、仕組みは5つの項目に分かれています。

経営戦略・ビジョンの提示

デジタルツールを導入することだけではなく、ツールを活用し企業にとって新しい価値を生み出すことがDX推進の目的です。

DXの取り組みを開始する前には、新しい価値を生み出すために何を行うべきか、明確な経営戦略やビジョンの提示が重要になるでしょう。

経営トップのコミットメント

DX推進は、企業の文化や風土に大きな影響をもたらします。業務の仕方や組織や人事の仕組みに変革が生じることで、社内に混乱や、時には反発が起こる可能性も少なくありません。

企業のトップがDX推進にコミットし、リーダーシップを図りながら社員の意識形成や自発的な行動に導いていく姿勢が必要になるでしょう。

DX推進のための体制整備

DX推進に挑戦すること、かつ継続して行っていくためにはさまざまな方面からの体制整備を進めていくことが重要です。「マインドセット」や「推進・サポート体制」、「人材の育成・確保」のポイントに重点を当て、体制整備を進めていきましょう。

投資等の意思決定のあり方

DX推進には、相応の投資を行う必要があります。投入コストのみならず、ビジネスに与えるインパクトや、DXに投資しないことによるデジタル化が進む市場から排除されるリスクを勘案しているかを考慮する必要があるでしょう。

スピーディーな変化への対応力

ビジネス環境は日々目まぐるしい変化を遂げています。この変化にスピーディーに対応できる環境づくりも重要になります。企業の経営状況や経済状況に対して迅速な方向転換ができるよう、企業の変革がスピーディーな対応力を発揮できるかどうかを確認しておきましょう。

DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築

「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」は、「体制・仕組み」や「実行プロセス」の2つの項目で構成されています。

体制・仕組み

DXを実現するにあたり、ITシステム構築のための体制を整えることが重要になります。例えば、社内全体でITシステムを構築するための人事確保や体制づくり、デジタル技術を戦略的に活用できる基盤を整えることが必要です。

また、既存システムの状況把握や課題を明確にした上で、新たに導入するITシステムと既存システムの連携がスムーズに行なえるようにし、導入後の煩雑化やブラックボックス化を防いでいきましょう。全社的なITシステムの構築に向けたガバナンスを確立することが重要です。

新しいシステムを導入する際は、ベンダーに一任せず、各部門がオーナーシップを持って取り組んでいくことも重要になります。ベンダーからの提案は受け入れつつも、自社の各部門が主導権を持ち、事業計画や要件定義を行っていきましょう。

実行プロセス

DXの体制構築を行う上で、まず自社のPCやソフトウェアなどのIT資産を分析し、現状のシステムの状況把握を行っていきましょう。適切な分析や評価が行なわれることで、不要なシステムやIT資産の把握や、破棄を検討することができるでしょう。

IT資産を分析・評価を行った後は、仕分けとプランニングを行っていきます。ビジネスモデルを変革する範囲を見定め、自社のニーズに合わせたシステム環境を構築するプランを立案していきましょう。

自社のITシステムを刷新した後も、システムの導入だけで満足せず、DX導入が自社にとってどのような効果をもたらしているのかその都度評価できる体制を整えておくことも重要です。日々変化するビジネス環境に柔軟に対応できるデジタル技術の導入が求められます。

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デジタルガバナンス・コードの構成内容

デジタルガバナンスコードは「ビジョン・ビジネスモデル」、「戦略」、「成果と重要な成果指標」、「ガバナンスシステム」の4つの項目で構成されています。

各項目で定められている方向性を目指すことで、DXの実現に近づいていくでしょう。各項目が示す方向性に関して詳しく解説します。

ビジョン・ビジネスモデル

企業は、DXによって自社の事業にどのような影響を及ぼすのか明確なビジョンを持ち、ビジネスモデルを設計することが求められます。その上で、顧客や取引先などの企業に関わる関係者に対し、自社のビジョンやビジネスモデルの公表を行っていきましょう。

戦略

戦略に関しては、「組織作り・人材・企業文化に関する方策」と「ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策」の2つに分かれています。

デジタル技術を活用する戦略において、人材を育成することや外部組織との関係を構築すること、また、戦略を進める上で必要なデジタル技術の環境整備を行うことが重要であると記載されているのです。

成果と重要な成果指標

戦略を実行する上で、達成度が把握できる成果指標を設けることが求められています。指標に基づいた評価を実施し、成果に基づいた自己評価を顧客や取引先などに示しましょう。

ガバナンスシステム

企業のトップはデジタル技術を活用する上での戦略を発信するなど、リーダーシップを図りながらDXを進めていくべきであると示しています。担当者との連携を図りながら課題の把握や分析、評価を行っていくことが重要です。

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DX推進が進まない理由

DX推進には、新しいシステムやソフトウェア、場合によってはIT機器の導入が不可欠です。DX推進に必要なデジタル技術の導入にはまとまったお金が必要であり、コスト面での懸念が生じる場合もあるでしょう。自社の業務効率化や業績アップを見据え、未来に投資をする意識を持つことが重要です。

また、顧客のニーズに対応していないことも理由に挙げられます。デジタル技術を活用したデータ分析を行い、顧客の潜在的なニーズに答えていくことが重要になるでしょう。データを活用し、企業の価値を高めることで市場競争力の強化にも繋がります。

DXが進まない理由として一番深刻であるのが、システムを活用することができる人材が不足していることです。自社に適したデジタル技術を導入したところで、導入したシステムを活用できる担当者がいなければスムーズなDX推進には至りません。

日本の多くの企業でシステム活用に従事できる人材が不足しているのは事実で、課題となっています。自社内でDX推進に携わる人材の育成や、人材育成が難しい場合、社外から人材を確保する方法も検討するのがよいでしょう。

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DX推進ガイドライン(デジタルガバナンスコード)における重要なポイント

DX推進ガイドラインでは、企業のDX推進を図るため必要な指針が多く紹介されていますが、その中でもいくつかのポイントに重点を置く必要があります。

1つ目は経営陣の意識改革を図っていくことです。自社の経営理念や戦略などを考慮した上でDX推進の目的を明確にし、企業全体でDX推進を進めていくことが重要になります。そのために、経営陣などの企業のトップが積極的なDX推進への取り組むなどの意識改革を行っていく必要があるでしょう。

2つ目はさまざまな事態に対応できる柔軟性のあるDX推進における社内体制を整備することです。思うような結果に至らなかった場合や予想外のトラブルが生じた場合でも、その都度評価や検証を行っていくことで、状況に即したDX推進が可能な仕組みづくりが可能となるでしょう。

DX推進業務と通常の業務を並行して行っていくことは現実的ではないばかりか、DXの業務が滞ってしまう可能性もあります。DX推進に専従できる人材の育成や、外部の専門家に委託するなど、DX推進に集中して取り組める組織づくりも重要になるでしょう。

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まとめ

DX推進ガイドラインは、押さえておくべきポイントや注意点が掲載されており、DX推進に難渋している企業の道標となります。DX推進ガイドラインを参考に、スムーズなDX推進に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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