デジタル化が急速に進む今、DX推進は企業の成長や競争力強化に欠かせない取り組みです。DXを推進するにあたり、どのように進めればよいのかと疑問を抱えている企業は多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、DXの成功事例や業種別のDX事例を紹介します。具体的なDX事例を参考に、自社のDX推進に取り組みましょう。
DX（デジタルトランスフォーメーション）とは？
DXとは、デジタルトランスフォーメーション（Digital Transformation）の略です。「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させる」という概念が、DXの定義とされています。
DXの目的は、単なるデジタル化や業務プロセスの改善を行うだけではありません。デジタル技術を活用することで、企業をよりよいものに変革し、競争優位性を確立することがDXの目的です。
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【DXグランプリ2022選出】DXの成功事例
2022年6月、経済産業省は、東京証券取引所及び（独）情報処理推進機構と共同で「DX銘柄」を選定し、「DX銘柄2022」選定企業33社を発表しました。
選定された企業は、DXの取り組みを前提としたビジネスモデルや経営の変革にチャレンジし続けていることが評価され、さらなる活躍が期待されています。
選定企業33社の内、特に優れた企業としてDXグランプリに選ばれた2社の成功事例についてみていきましょう。
「DX銘柄2022」「DX注目企業2022」を選定しました！（経済産業省）
中外製薬株式会社
中外製薬株式会社は、がん・バイオに強みを持つ研究開発型製薬企業です。
中外製薬株式会社では、ヘルスケア産業のトップイノベーター像の実現を目指し、成長戦略「TOP I 2030」を策定しています。この成長戦略に強い影響をもたらす、キードライバーのひとつとしてDXを位置づけています。
DX推進には、「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を掲げ、「デジタル基盤の強化」「全てのバリューチェーンの効率化」「デジタルを活用した革新的な新薬の創出」という、３つの基本戦略で取り組んでいます。創薬や生産プロセス、医療関係者や患者までを網羅した取り組み事例が高く評価され、DXグランプリに選ばれています。
「デジタルトランスフォーメーション “CHUGAI DIGITAL”」
【DX銘柄2022】DXグランプリ企業取組紹介 中外製薬株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者（CEO） 奥田修
日本瓦斯株式会社
「ニチガス」の愛称でお馴染みの日本瓦斯株式会社は、日本の総合エネルギー販売会社です。
ニチガスのDX成功事例は、他社と競争するのではなく、共存のためにDX推進を進めている点が特徴です。異業種や競合他社とも手を取り合い、新たな価値の創造につなげたDXの取り組みが評価され、DXグランプリに選ばれました。
エネルギー業界のためのクラウドコンピューティングシステム「雲の宇宙船」や、ガスメーターをオンライン化するIoT機器「スペース蛍」など、デジタル技術を駆使し、DXに取り組んでいます。今後は、太陽光発電やEVといったエネルギー全般の提供を最適化する、スマートハウスの実現などを目指しています。
日本瓦斯株式会社「ニチガス、DXへの道のり」
【DX銘柄2022】DXグランプリ企業取組紹介 日本瓦斯株式会社 取締役会長執行役員 和田眞治
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【業種別】DXの成功事例18選
DX推進により成功をおさめているのは、DXグランプリに選ばれた2社だけではありません。ここでは、さまざまな企業のDX成功事例を業種別に紹介します。
製造業
まずは、製造業のDX成功事例について紹介します。製造業のDX取り組み事例に関しては、経済産業省が発表している「製造業DX取組事例集」も参考にしてください。
製造業DX取組事例集（経済産業省）
BMW
ドイツに本社を置く、グローバルな自動車メーカーBMWでは、アプリの開発によって、新しい販売機会の可能性を見出しました。
AR（拡張現実）を活用したアプリ「BMW i Visualiser」では、アプリ内で実物大の車を眺めたりカスタマイズしたりなど、リアルな購入体験を実現しています。いままでの常識を覆し、顧客とデジタルで繋がりを持つことで新たな販売機会を得ることができた、DXの成功事例だといえるでしょう。
BMW INDIVIDUAL VISUALIZER.｜BMW
株式会社ブリヂストン
株式会社ブリヂストンは日本のタイヤメーカーでありながら、世界最大のタイヤ製造及びゴム加工会社のひとつです。
ブリヂストンでは、「より大きなデータで、より早く、より容易に、より正確に」というDX推進のテーマを掲げています。匠の技とデジタルを融合させた成功事例と、さらなるイノベーションの加速を目指している点が評価され、DX銘柄にも３年連続で選定されています。
デジタルトランスフォーメーションを推進する企業として「DX銘柄2022」に3年連続で選定｜株式会社ブリヂストン
株式会社ＬＩＸＩＬ
建築材料や住宅設備機器の開発・提供をしている株式会社LIXILは、DX推進を新たな顧客の獲得と新規ビジネスの構築へとつなげています。
IT基盤の強化とAIの活用により、顧客体験の向上や販売プロセスの効率化を実現しました。新規ビジネスとして、玄関のドアに触れることなく開閉できるアプリ「DOAC（ドアック）」をリリースし、社会的課題の解決にも貢献しています。
デジタルトランスフォーメーション（DX）の取り組み｜株式会社LIXIL
化学
大塚デジタルヘルス株式会社
大塚デジタルヘルス株式会社は、国内の精神科医療に対するデジタルヘルス・ソリューション事業を行うため、大塚製薬と日本IBMで設立された合併会社です。
医療情報が多い精神科医療では、カルテが自由記述で記載されており、膨大なデータの活用ができていないことが課題でした。この課題を解決するため、大塚デジタルヘルス株式会はAI機能やクラウドサービスを活用し、医療データの一覧性を実現しました。
旭化成株式会社
旭化成株式会社は、マテリアル・住宅・ヘルスケアの３領域で事業を展開する総合化学メーカーです。2021年に「DX Vision 2030」を策定し、さまざまなDX成功事例を重ねています。
デジタル人材の育成にも力をいれており、人・データ・組織風土を重要視したDX推進を行なったことによって成果を挙げた成功事例です。
富士フィルムホールディングス株式会社
写真や印刷などを事業とする富士フィルムホールディングス株式会社では、AIやIoTを活用した企業変革を目的にし、積極的にDXに取り組んでいます。
具体的なDX事例としては、医療用画像診断分野でのICT活用や、自社開発AIプラットフォームの医療機関への提供などが挙げられます。2021年には「DXビジョン」を策定し、これまで以上に社会課題の解決に向けた挑戦を続けています。
教育業
トライグループ
株式会社トライグループは、1987年の創業以来、家庭教師や個別教室をはじめとする個別指導サービスを提供している会社です。
最適な教育を提供するために、企業パートナーとの共同で、教育のDX化に挑戦しています。業界初の映像学習サービス「Try IT」の提供は、教育業界のDX成功事例として注目を集めました。いつでもどこでも授業が受けられるサービスを実現し、さらなる広がりをみせています。
運輸・物流業
日本郵便
日本郵便株式会社は、従業員約40万人を抱える日本郵政グループにおいて郵便・物流事業を担う会社です。
人手不足や社員の負担増加を解決するために取り組んだのが、ドローンやロボット技術などの先端技術を用いた配送のDXです。2020年にはドローンを活用した配達実験を行い、配達時間を半分程度へと大幅に短縮することに成功しました。
DXの推進等に向けた戦略的なIT投資について｜日本郵政株式会社
日本交通株式会社
1928年創業の日本を代表する日本交通株式会社は、タクシー業界のDX推進を牽引する企業として注目されています。
2011年には、アプリひとつでタクシーの手配や予約、タクシー料金の支払いまで行える、日本初のタクシー配車アプリ「Japan Taxi」をリリースしました。
「Japan Taxi」は2023年1月31日にサービスを終了しましたが、後継サービスのタクシーアプリ「GO」が1000万ダウンロードを突破するなど、快進撃を続けています。業界に新たなビジネスモデルを生み出した、革新的なDX成功事例といえるでしょう。
サービス
Amazon
決済や物流など、小売の仕組みをオンラインで実現したAmazonは、数々のDX成功事例を重ね、世界有数の大企業へと成長しました。
具体的なDX成功事例としては、１クリックで購入できる「今すぐ購入」ボタンの設置や、「注文履歴から分析した、最短即日のスピード配送」などが挙げられます。顧客体験の向上を実現し、DXによって世界的な変革を起こした企業といえるでしょう。
DXとは？DX推進の成功事例を紹介｜amazon business
Netflix
Netflixは、アメリカのカリフォルニア州に本社を置くコンテンツ配信企業です。
Netflixの最初のDX成功事例は、オンラインビデオレンタルという新しいビジネスモデルを構築したことです。さらに、レンタルからサブスクリプション型を導入し、ストリーミングサービスの提供をはじめるなど、いくつものDXの成功事例をおさめ、世界的なコンテンツ配信企業となりました。
株式会社メルカリ
以前までの個人間の売買といえば、オークションサービスが中心で、手軽さに欠けていました。その課題をDXによって解決したのが、個人が簡単にモノの売り買いを楽しめる、フリマアプリを生み出した株式会社メルカリです。
スマホ決済サービスの提供で、売上金の活用の幅を広げることにも成功しました。今では、日米通算1億ダウンロードを突破する、日本最大級のフリマアプリに成長しています。
情報・通信業
ＫＤＤＩ株式会社
KDDI株式会社は、「au」ブランドを中心とした携帯電話事業を手がける、日本の大手電気通信事業者です。
通信事業をベースにしたDX関連事業を拡大していることに加え、IoTやクラウド開発などによる顧客とのビジネスを共創しています。社内DX人材の育成にも力を入れるなど、DX推進への積極的な取り組みにより成功をおさめています。
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社は、ソフトバンクグループ傘下の電気通信事業者です。
グループシナジーを生かし、幅広い分野での新規事業の実績や社会課題解決に取り組み、DX理念に合致するビジョンや社内制度など、数々のDX事例が高く評価されています。「誰一人取り残さない」デジタル社会の貢献を目指し、DXの取り組みを加速させている企業です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは？｜ソフトバンク株式会社
金融・保険
ソニー損害保険株式会社
ダイレクト型の損害保険事業を展開するソニー損害保険株式会社は、DX推進により新たな自動車保険サービスを生み出した企業です。
運転中のデータを収集し分析することで、運転手の事故リスクを算出できるスマホアプリ「GOOD DRIVE」をリリースしました。事故リスク度合いなどを参考に、運転スコアが表示されます。運転スコアに応じて保険料をキャッシュバックを行うなど、交通事故の少ない社会の実現に貢献したDX事例です。
AIを活用した運転特性連動型自動車保険「GOOD DRIVE」販売開始｜ソニー損害保険株式会社
SBIインシュアランスグループ株式会社
SBIインシュアランスグループは、インターネット金融のパイオニアであるSBIグループの保険事業を統括している会社です。保険業界におけるイノベーターを目指し、先進技術を駆使したDXを推進しています。
具体的には、AI搭載型基幹システム向けテスト⼯数削減アプリ「MLET.II」の本格的な実装を開始するなど、付加価値の高い顧客サービスを目指し、業務拡大を続けています。
小売業
セブン＆アイ・ホールディングス
コンビニエンスストア「セブンイレブン」を展開するセブン＆アイ・ホールディングスは、配送サービスの配達効率の最適化を目指したDX事例が話題となりました。
2021年に、５年間の中期経営計画として「ラストワンマイルDXプラットフォーム」の構築を掲げています。AIが車両やドライバー、配送ルートなどをDXによって最適化し、最大で配送距離を約40％、車両台数を約45％の削減を狙っています。
グループを横断したDXの推進｜セブン＆アイ・ホールディングス
ファミリーマート
小売業界の代表的なDX成功事例として挙げられるのが、大手コンビニエンスストアであるファミリーマートが導入した無人決済システムです。
無人決済システムでは、利用客が手に持った商品をカメラがリアルタイムで認識し、タッチパネルに金額が表示されます。バーコードをスキャンする手間が省け、短時間で買い物を済ませられる利便性の向上を実現しました。
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まとめ
DXの必要性を理解していても、具体的に取り組めていない企業が多く見受けられます。DXの実現には、成功イメージを持つことが大切です。さまざまな企業のDXの成功事例を参考にし、積極的かつ効率的にDXに取り組みましょう。
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