「データマネジメント」という言葉を知っていますか。データマネジメントとは、言葉の通り「データの管理」を表します。
日々、仕事では、売上データや会計データ、顧客のデータや取引先のデータなど様々なデータが生まれています。これらのデータを正しく適切に管理することで、使いたいタイミングで活用できたり、経営や日々の仕事に活かしたりすることができるのです。
本記事では、データマネジメントとは何か。また何を対象として、どのように進めていくべきものなのかをお伝えします。
そもそも、データマネジメントとは?
データマネジメントというと何やら難しく聞こえますが、何をデータマネジメントと言うのでしょうか。
データマネジメントとは、「データをビジネスに活かすことができる状態で継続的に維持、さらに進化させていくための組織的な営み」と言えます。
日々の業務で言えば、データを登録・更新・活用することが、データマネジメントに当てはまると言えるでしょう。もちろん、それらを行う組織や責任体制の構築、ITツールの選定もデータマネジメントのひとつです。
マネジメントというくらいですから、これらの一つひとつは正しく行われなければいけません。登録作業を雑に行っていたらどうなるでしょうか。「データをビジネスに活かすことができる状態」にはなりません。みんなが自己流で更新していたらどうでしょうか。「組織的な営み」とは言えませんね。
きちんと適切に運用・管理することが、データの効果的な活用につながるのです。
1.DMBOKにおけるデータマネジメントの定義
データマネジメントという言葉は、DMBOKという書籍できちんと定義されています。
DMBOKは”Data Management Body of Knowledge”の略称で、データマネジメントに関する知識が体系立ててまとめられている書籍。「DAMA International(国際データマネジメント協会)」が発刊しています。
日本語版は『データマネジメント知識体系ガイド』として発刊されており、特に第二版であるDMBOK2は、データマネジメント実務者にとって必須の書籍と言われています。
こちらのDMBOK2では、データマネジメントを次のように定義しています。
「データとインフォメーションという資産の価値を提供し、管理し、守り、高めるために、それらのライフサイクルを通して計画、方針、スケジュール、手順などを開発、実施、監督することである。」
–『データマネジメント知識体系ガイド 第二版』DAMA International編著、DAMA日本支部・Metafindコンサルティング株式会社訳、日経BP社、2018
この定義から分かる通り、企業にとってデータ、また情報は「価値ある資産」です。資産は常にどこにあるかわかり、組織で適切に運用されることが望まれます。
2.どんな種類のデータが、マネジメントの対象となるか
では、どのような種類のデータをマネジメントの対象とすればいいのでしょうか。
結論から言うと、「あらゆるデータ」がマネジメントの対象となります。しかし、あらゆるデータと一口にいっても様々なデータがありますよね。
データは大きく「ビジネスデータ(一般の業務で使うデータ)」と「メタデータ(データの意味や桁・型などを表すデータ)」に分けることができます。
そのなかでもビジネスデータは、関係データベース(RDB)に格納できるような構造を持つ「構造化データ」と、テキスト・音声・画像・動画・また機械やセンサーが作り出すデータといった、データベースに格納することが難しい「非構造化データ」に分けられます。
構造化データは、社員データや顧客データ、商品データといった企業が所有する資源となりうるデータや、販売データをはじめとした業務遂行における出来事を表すイベントデータ、また販売実績といった結果を集計・分析する集計系データなどに分けられます。
非構造化データとは、構造化データとは反対に、関係データベースへの格納が難しいデータのこと。具体的には、一般の書類に記述されている文章・ブログなどのテキスト、また音声、画像、動画、機械やセンサーが作り出すデータといったものが挙げられます。
※こちら、tableタグで見せても良いかもしれません
3.データマネジメントを構成する要素
データマネジメントを行っていく上でその要素を分解すると、3つに分けることができます。
1つ目が、戦略。「データマネジメント戦略」とも言えますが、企業・組織においてどのようにデータマネジメントを行っていくか、その戦略と方針の決定を行うとともに、データの統合管理やデータ利活用基盤整備など、複数のプロジェクト活動を統合管理するプログラムを扱います。
2つ目は、組織。1つ目のデータマネジメント戦略の実行に責任を持ち、オペレーションを担う組織の立ち上げや維持を遂行します。
3つ目は、オペレーション。データマネジメント戦略を実行する一つひとつのプロジェクトを扱います。
※より詳細な内容は『データマネジメント概説書(JDMC版)』などをご覧ください。
4.データマネジメント実施に必要な有識者とは
データマネジメントを行う上で、どのような人材が必要なのでしょうか。
一例として、以下のような有識者が挙げられます。
・データアーキテクト…データアーキテクチャに則ってデータモデルなどを作成する役割
・データモデラー…データモデルを作る役割
・データベース管理者(DBA)
・データベース開発者
・データ品質アナリスト(およびエンジニア)
・データ統合開発者
・データガバナンスマネージャー…ガバナンスに則ってデータを扱う責任者
・データスチュワード…データ資産の管理責任者
・データエンジニア
それぞれの役割は独立していることが望ましいですが、組織によっては兼務する場合があります。もちろんソフトウェアを開発するプログラマーや、データを活用するデータサイエンティスト、また経営幹部といったポジションも、それぞれに必要に応じてデータマネジメントに携わっていきます。
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なぜ今、データマネジメントが重要視されているの?
たくさんの人が関わり、実行されていくデータマネジメントですが、そもそもなぜこれほどまでに重要視されるようになったのでしょうか。
1つは、経営環境の変化が挙げられます。グローバル化が進み、また顧客のニーズも細分化し、顧客セグメントもより細かな領域に分かれています。そのような状況の中で、管理するべきデータの種類・量が増えていることが挙げられます。
また、多くの企業が取り組んでいるデジタルトランスフォーメーションなども当てはまりますが、ITの進化によりシステムとそれに関連する業務データの増加、Excelといった簡易ツールの増加、データの発生元・加工プロセスの複雑化によりデータが散在・重複しており、一昔前に比べて企業の扱うデータ量が格段に増えていることが挙げられます。
現在の企業にとってデータは、まさに「資産」と呼べるもの。データをきちんとマネジメントすることで、経営に活かすことができるのです。
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データマネジメントにより得られるメリット
データマネジメントをきちんと行うことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。そのメリットは大きく2つに分けられます。
■ビジネスの可能性を広げる
データを効率的に利用できる状態にあると、より正確かつスピーディに意思決定することが可能になります。そのため顧客ニーズの把握や新規事業といった、自社の事業活動にダイレクトに活かすことができます。
■ビジネスのリスクを減らす
データマネジメントは、日本をはじめとした各国のデータ規制の抵触や、データ流出をはじめとしたセキュリティ面のリスクにさらされることから、企業を守ることができます。またデータ管理の属人化を防ぐことにもつながり、担当の交代があっても、スムーズに管理体制を引き継ぐことができます。
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データマネジメントを行う手順
では、データマネジメントはどのように行っていけば良いのでしょうか。ざっくり言うと、以下の手順に分解できます。
① データマネジメントの戦略・方針・計画を立案する
② データ構造を設計する
③ データを蓄積するための仕組みを構築・維持する
④ データを利用・管理する
⑤ データマネジメントのルールを策定・運用する
戦略→設計→仕組み化→管理→運用と、オーソドックスな形ですが、きちんと基本に忠実に行うことが大切になってきます。
どれが抜けても、データマネジメントがうまく機能しなくなる恐れがあるので、注意しながら進めていきましょう。
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データマネジメント実施時のポイント
データマネジメントを実施する際には、気をつけるべきポイントが3つあります。
1.目的を明確にする
当たり前ですが意外と忘れがちなのが、「なぜ」やるのかということ。
データマネジメントは目的ではなく、ビジネス上の目的を達成する手段であることを忘れてはいけません。「整っていないデータの確認時間の削減による業務効率化」や、「データを活用した売上拡大」といったような「データマネジメントによって達成したいこと」が必ずあるはずです。まず本来の目的を整理することを始めるのが良いでしょう。
2.データの中身を確認する
データの収集・分析を始める際に、予算のみを先に掲げ、データを格納するシステムやツールをとりあえず導入する、というケースが見受けられます。しかし、データに合わせてシステムを選ぶべきなのは、言うまでもありません。
このような場合、「データが整っていない」という本質的な問題を見過ごしたままシステム導入を行ってしまい、正確なデータ活用ができないというケースもあり得ます。
まずはどんなデータをどのように管理したいのか、きちんと整理して考えることが大切です。
3.小さなデータから着手し、徐々に広げていく
また気をつけるべきなのは、データを貯めることのみに注力してしまうこと。しかし、データは活用してこそ価値があります。そのため、使えるデータを効果的に貯めていくことを心がけましょう。
そのために大切なのは、小さなデータから管理を始めて、管理における「小さな成功体験」を積んでいくことが大切です。
一気に大きなデータを管理しようとすると大変になるので、まずは小さく始めて、大きく育てていきましょう。
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データマネジメントのツール
データマネジメントを行なっていく際に、大切になるのがツール。用途や目的に応じて、様々なツールがあります。
データベース
構造化されたデータの集合体で、階層型やネットワーク型などさまざまな種類があります。
現在、最も普及しているデータベースはリレーショナルデータベース(RDB)です。
データウェアハウス
データを目的別に編成し、時系列に統合した「データの倉庫」です。一般的なデータベースよりストレージ容量が多く、情報を構造化することで、分析に最適化するのが特徴です。
データレイク
データレイクは構造化データだけでなく、用途が決まっていない非構造化データも一元的に保存できるデータの格納庫です。あらゆる情報を未加工で格納し、膨大な「生のデータ」を扱いやすいように泳がせておくその特徴から、「Date Lake(データの湖)」と呼ばれます。
データベース管理システム
データベース構築のため、データベースの運用・管理を行うためのシステムが「データベース管理システム(DBMS)」です。
データベース内に格納されたデータを整理、検索、更新するだけでなく、データの共有を実現する機能もあります。
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データマネジメントを簡単に始める方法
DMBOK2をベースに、データマネジメントの概要をみてきました。
もしかしたら、なかには「こんなにたくさんのことをやらなければいけないのか」と思った方もいるかもしれません。確かに本格的に0からデータマネジメントを始めるためには多くの時間とコストがかかってしまいます。
そこでおすすめなのが、クラウド型PIMサービス「PlaPi」。低コストで導入でき、使いやすい。セキュリティも強固で、社内外でデータを気軽に管理できるサービスです。
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自社のデータ活用方法に合わせて、最適なサービスは変わっていくはず。ぜひこういったツールも、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。