最近ではインターネットを利用したECサイトで商品を購入する人も多くなりました。スペースに制限がある実店舗と異なり、ECサイトは多様な嗜好やニーズに応えられるように、実店舗よりも商品のバリエーションが多くなっています。その多数の商品を効率的に管理する手段として、物流や小売りを中心に用いられているのが「SKU」です。

本記事ではSKUの概要とメリットやデメリット、関連する物流用語などについて解説します。SKUを活用することで、業務にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

SKUとは

「SKU=Stock(在庫) Keeping(管理) Unit(単位)」であり、「最小の商品単位」という意味です。

例えば「メンズのスニーカー」であれば、「赤・青・黒・白」などの色と、それぞれに「25.0・26.0・27.0」などのサイズがあります。SKUはこの種類ごとに設定され、この場合は「メンズスニーカー 赤 25.0cm」「メンズスニーカー 黒 26.0cm」などがそれぞれ1つのSKUです。

SKUの設定で1種類の商品を特定できることにより、商品の詳細な管理を可能にしています。その結果、効率的な在庫管理や売上分析に活用され、物流業界や小売業界、特に商品展開が多彩なアパレルやECサイトでよく使用されています。

SKUの管理・設定方法

SKUは「誰でもその商品を特定できる」必要があります。そのため、SKUを設定する際は「商品が特定できるか」「商品を特定する必要があるかどうか」を基準に決めていきます。

SKUの基本的な設定方法

基本的には「アイテム名→色→サイズ」といったように、大きなカテゴリから小さいカテゴリにしていき、それぞれのカテゴリ内であらかじめ割り振りを決めた英数字を設定します。

例えば「メンズスニーカー 赤 25.0cm」という商品であれば、SKUは「MS-RE-250」と設定できます。

これでメンズスニーカーの取り扱いが1種類であればこのSKUで「メンズスニーカーの赤の25.0cm」を特定できますが、実際に取り扱っている種類はもっと多いでしょう。その場合、「MS(メンズスニーカー)」の部分の文字数を増やす、またはカテゴリをもう1つ増やして商品のバリエーションに対応する必要があります。

また、毎年ラインナップにあるような定番商品は「型番+製造年の下2桁」とする場合もあります。

SKUを設定するときの注意点

SKUを設定するときには、その後の在庫管理や店舗運営がスムーズになるようなコードを付けるようにします。

具体的には、次のような点に気を付けるとよいでしょう。

  • イメージの付きやすい型番を決める
  • コードの桁数をそろえる
  • アルファベットと数字を適度に混在させる

まず、在庫管理や商品を探す時にわかりやすいように、型番からアイテムが想像しやすいように設定します。

次に、アルファベットで設定するカテゴリと数字で設定するカテゴリを分けることで、各カテゴリの区切りがわかりやすくなります。

例えば、「ST(メーカー名)M(メンズ)009(アイテム種類)Y(色)250(サイズ)」とするとわかりやすいです。

また、表計算ソフトで在庫管理する場合、在庫管理や各種入力の手間を軽減するために全てのSKUの桁数はそろえておくのが基本です。

SKUを分けた方がいい/同一にした方がいい場合

マイナーチェンジやパッケージ一新など、SKUを別に設定した方がいいか迷った場合、「別商品として管理したい(する必要がある)かどうか」で決めるといいでしょう。

一般的には、分けた方がいい場合は以下のパターンです。

  • セット販売で商品は同じでも個数が異なる
  • キャンペーン商品で価格が異なる
  • 商品は同じだが、贈答用でパッケージが異なる
  • おまけ付きや限定パッケージなど、売上に影響する付帯要素がある

一方、同一でいい場合が次のようなパターンです。

  • 特に売上に影響しないパッケージのマイナーチェンジ

SKUのメリット・デメリット

「商品番号」「JANコード」などSKU以外にも商品を識別するコードはありますが、SKUによる管理にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリット

SKUは「陳列のしやすさ」「管理のしやすさ」「詳細な売上分析が可能である」といった点が主なメリットです。

特にアパレルはサイズやカラー、シルエットも含めた1アイテムの展開が多岐にわたる場合、SKUを詳細に分けることで多品目の商品を把握しやすくなり、実店舗であれば商品陳列の計画も立てやすくなります。

また、在庫数の管理や発注の手間が格段に楽になるため在庫切れによる機会損失や過剰在庫のリスクが低下します。ECサイトであれば、発送にかかるスピードの短縮にもつながるでしょう。

それに加えて、詳細な販売データにより販売傾向が把握しやすいため、将来的な販売計画やメーカーであれば商品企画の作成にも役立てられます。

デメリット

一方、SKUの主なデメリットとしては「導入コスト」が上げられます。

これには、対応する在庫管理システムやレジのシステムといった金銭的コストの他に、導入するにあたって運用するスタッフの労力面でのコストがあります。多様な商品の効率的な管理が可能である反面、詳細な区分に分けて処理するという手間が増えるというデメリットがあります。特に途中から導入する場合、スタッフが慣れるまでは負担になるでしょう。

そのため、そこまで多品目を扱わないのであればSKUはメリットよりデメリットの方が大きくなります。特に新規事業の場合は、将来的にどの程度まで商品展開を予定しているのか、また詳細に管理する必要があるのかを考える必要があるでしょう。

SKUの活用実例

次にSKUの活用実例を見ていきましょう。実際に普段使用している店舗やサイトでも、SKUで管理されていることがわかります。

Amazonの実例

AmazonにもSKUが導入されています。

出品者はSKUコードを設定することで、在庫管理や売上管理がしやすくなるだけでなく、人気の低い色だけを値引きするといった設定が可能です。

出品者側のメリットだけでなく、購入者側も検索画面でサイズやカラーのバリエーションを見ることができます。タイプによる価格の違いが一目で確認できるため、商品選択の選択肢が広がり、検索行動の短縮化につながるなどのメリットがあります。

<Amazon>
「SKU」とは何ですか?(amazon seller central)

SKUに関連する5つの物流専門用語

SKUについて一通り解説したところで、SKUに関連する物流専門用語について5つ取り上げ、合わせて解説していきます。

棚卸し

棚卸しは、記録上の在庫数と実際に倉庫や店舗に残っている商品の数が合っているかどうかを確認するために行う作業です。

数量がずれる原因には主に以下の原因があります。

  • (実店舗であれば)万引き
  • 破損による処分や、返品・交換の処理漏れ
  • 納品時の事務処理ミス、出荷時の発送ミス

棚卸しを定期的に行うことにより、在庫金額が大きくずれることを防ぐことができるでしょう。在庫金額は決算の際に、正しく利益を計上するためにも必要です。

ロット

一度に製造される、あるいは扱われる数量の最小単位がロットです。製品の製造にはコストがかかるため、製造側の利益が確保できるラインに合わせて、それぞれの企業で商品ごとに1ロットあたりの数量が決められています。

また、常に決まった数量を1ロットとして同一条件のひとまとまりとして管理することで、輸送や保管を効率的に行うことができます。他にも不具合が発生した際、原因の特定や取り除く製品の対象範囲の確定が容易になるというメリットがあります。

ピッキング

ピッキングとは、商品を出荷する際に注文を元に倉庫から商品を取り出す作業のことです。

保管する商品が多品目にわたる場合、SKUで商品を細かく分類し倉庫に体系的に保管しておけば、ピッキングの際に商品の特定が簡単になり発送までの時間が早くなります。

ピッキングには、個別の注文ごとに取り出す「シングルピッキング」、複数の受注分の商品を一度に取り出した後、注文ごとに仕分けする「トータルピッキング」があります。

リードタイム

リードタイムとは、「発注=スタート」から「納品=ゴール」までにかかる時間に対して主に使用されています。

リードタイムは更に以下の4種類に分けられます。

開発:商品企画から開発を開始するまで
調達:製品に必要な部品を調達するまで
生産:製品を生産するまで
出荷:製品完成から納品まで

リードタイムを短縮することで、顧客の満足度向上や在庫を余分に抱えるリスクの軽減につながるため、各工程間の連携をスムーズにし、待機時間を短縮することが重要です。

引き当て

物流や製造において「引き当て」は、在庫の引き当てを意味しています。「在庫の引き当て」とは「予定されている出庫のために、その在庫の数を確保しておくこと」です。

受注が重なった場合、現在の在庫数を見て大丈夫と判断すると、実際に出庫する際に他の受注で製品が出庫されていて注文数に足りない、といった状況が起きる可能性があります。それを防ぐために、注文を受けた際に引き当てを行い「販売(出荷)可能な在庫」と「販売(出荷)予定の在庫」に分けて管理します。

まとめ

SKUについて簡単にまとめると以下の通りです。

  • SKU=商品の最小単位、物流や小売、とくにアパレルで使用される
  • 基本的に大カテゴリ→小カテゴリで設定する
  • 多品目を扱う場合に商品管理・売上分析がしやすくなる半面、導入にコストがかかる

SKUの導入で企業側は、売上と在庫のバランスが取りやすくなり、購入者側は多様な種類から希望の商品を選びやすくなります。

詳細な購入データを収集することで、企業の利益率の向上につながるのではないでしょうか。

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