物流業務の改善を行うことは、業績向上やコスト削減が可能になるだけでなく、従業員が働きやすい環境の構築や顧客満足度の向上にもつながります。
しかし、物流業務をもっと効率的に行いたいと思いつつも、どのように改善を進めればよいかと悩んでいる担当者の方は多いようです。
今回は、物流業務の改善を効果的に行うための5つのポイントを詳しく解説し、実際に行われている改善の事例についても紹介します。
物流業務改善の5つのポイント
物流業務の改善を行う上では、余計にかかってしまっているコストや人為的なミス、3Mと呼ばれるムリ・ムダ・ムラを削減することが重要です。また、作業の効率化や作業工程の適切な管理を行うことで、業務をスムーズに行えるようになり、省人化や省時間化が可能になります。
物流業務改善を進めるための5つのポイントを解説します。
物流コストの削減
物流業務の改善のためには、まず削減できる物流コストがないか見直しを行いましょう。商品の移動や取引、処理といった工程でかかる全てのコストを確認します。
具体的なコストとして、人件費や郵配送費、システム費、商品の管理費、保管場所の維持費などが挙げられます。自社でどのようなコストが発生しているかを把握したうえ、それらのコストを「支払い物流コスト」と「社内物流コスト」の2種類に分類して考えると、削減できる部分が見つかりやすくなるでしょう。
支払い物流コスト
社外に支払うコストは「支払い物流コスト」に分類します。アウトソーシングを利用した輸送費や包装代といった商品を扱う際に直接関係する費用に加え、倉庫など保管場所の維持費や光熱費なども含まれます。
支払い物流コストは、支払い額などとして目に見える形で数値化される場合が多いでしょう。認識しやすく、社内で削減に取り組もうという意識も比較的高い場合が多いです。
これに対して、社内物流コストは可視化しにくいため、発生しているコストを把握していくことが必要です。
社内物流コスト
社内の人件費などの社内で発生するコストは「社内物流コスト」に分類されます。
注意すべきなのが、効率の悪い作業で余計にかかってしまっている人員コストが、はっきりとした金額として目に見える形になりにくいという点です。そのため、社内物流コストは削減の対象として見落とされることが少なくありません。
タグ付けや包装といった流通加工作業も製造原価に含められているなど、細かい工程ごとの人件費が計算しにくい形で扱われている場合も多く、経理の項目上でも埋もれやすい傾向があります。
削減できるコストを見落とさないように、社内物流コストを正しく認識できる環境を整える必要があります。まずは、作業のマニュアル化や情報管理システムの導入で、一つひとつの作業工程を的確に把握すると良いでしょう。どの工程にどれぐらいのコストがかかっているかという現状を確認しながら、削減できるところがないかを探り、改善に取り組みましょう。
ミスの防止
人為的なミスを防止することも物流改善の大きなポイントです。物流の業務は人力に頼っている部分も多く、ヒューマンエラーの発生は少なくありません。
配送先を間違えるなどといった出荷時のミスは起こりやすいものです。ミスが発生すると、処理するために余計なコストや時間がかかり、クレームにつながってしまう恐れもあります。
ミスを防止するためには、ダブルチェックや倉庫の整理整頓を徹底するほか、情報管理システムを活用して自動化に取り組むという対策もおすすめです。ヒューマンエラーの発生を抑え、作業時間や人的コストの削減も実現できるため、検討してみるとよいでしょう。
3M(ムリ・ムダ・ムラ)をなくす
作業の3Mを取り除いていくことも物流業務の改善のポイントとなります。3Mとはムリ・ムダ・ムラの事です。
「ムリ」は、従業員が現実的にできること以上の業務を求めている状態です。慣れない作業を短時間で遂行させようとする、十分な教育ができていないまま業務の担当者にする、といったことが当てはまります。「ムリ」があると生産性や品質が低下します。
「ムダ」は、必要以上の活動が行われている状態です。例えば、過剰な仕入れによって、在庫管理に人員や時間、保管場所を余計に確保しなければならない状態が当てはまります。「ムダ」は、人件費や管理費の増加につながります。
「ムラ」は、「ムリ」と「ムダ」が合わさることで起きるもので、安定した業務ができない状態です。
3Mの発生要因は、各業務に適切な人員を配置できていないという問題が大きいため、適材適所の人材配置ができるよう見直すと良いでしょう。
3Mをなくすためには、商品情報を管理できるシステムやハンディターミナルなどを導入して、作業の自動化や正確性の向上を進めることが有効です。機械化できる工程を検討し、人間による作業が必要な業務に多くの人員を配置できるように工夫してみるとよいでしょう。
作業の効率化
作業の効率化は、物流業務の改善において大きな効果が期待できます。
作業を効率化するために、まずは作業工程や業務の流れを単純化することを考えましょう。
余計な作業をしなくてすむように作業を単純化できれば、必要な人員を最小限に抑えることができ、作業スピードも向上します。複雑すぎる動作は、ミスやムダを発生させていることも多いため、時間や労力がかかっている作業を洗い出し、改善できないか分析してみましょう。
具体的には、ムダな移動をしなくてもよいように動線やレイアウトを最適化する、記録や管理にシステムを導入して自動化するといった方法があります。
実際の現場では、必要以上に箱を移し替えるといった二重作業などが根付いてしまっている場合も少なくありません。習慣的に行われている作業も、本当に必要なものかを見極めていくことが重要です。
作業工程の管理
物流業務の改善をする上で必ず行いたいのが、随時現状分析をするための作業工程の管理です。日常業務のささいなことでも、作業工程の内容や、誰がどのようなミスをしたかといった記録は、改善が必要な箇所を特定するために重要な役割を果たします。
紙媒体の記録で管理することもできますが、情報処理スピードが追いつかない場合も多いでしょう。分析が必要な場面ですぐに確認できるように、システムを導入して作業工程管理をデジタル化しておくことがおすすめです。
物流業務改善の事例
実際の物流業界では、物流業務の改善がどのように行われているのでしょうか。分野別に改善の事例を紹介します。
倉庫・配送センターでの業務改善事例
入出荷の工程や在庫状況を厳密に管理する必要がある倉庫や配送センターでは、リストと商品の照合時に見落としがあるなど、人為的なミスでトラブルが発生しがちです。記憶や目視という人間の認知機能には限界があるため、機器やシステムの導入が物流業務改善の大きなカギとなるでしょう。
ミスの回避に役立つ具体的な機械化には、ハンディターミナルやコードリーダの導入が挙げられます。ハンディターミナルを使えば、人力で行っていた目視確認や記録作業の工程を簡素化することが可能です。また、コードリーダを活用すれば、コンベアラインを流れる商品や荷物のコードの読み取りを自動化できます。人為的なミスの削減に加えて、大幅な効率化の実現が叶います。
製造工場での業務改善事例
製造工場には、「生産物流」に分類される一連の物流があります。資材や部品の調達、製造、製品の在庫管理、出荷・販売という流れです。物流改善には、一般的な物流で活用されるハンディターミナルやコードリーダに加え、RFIDや情報管理システムの導入などが役立つでしょう。
RFIDは、複数の専用タグからデータを非接触で一括読み書きできるものです。通信距離が長く、専用タグが箱の中に隠れていたり離れた場所にあったりという状況でも読み取れることが特徴です。ただし、コストがかさむ、無線通信のため環境によって通信トラブルが発生するといったデメリットもあります。バーコードや2次元コードと併用することで、より安定した運用ができるでしょう。
情報管理システムの導入も物流業務の改善に大きく貢献します。情報管理システムには、在庫管理はもちろん、資材や部品の情報をまとめたり、マニュアルの作成や共有ができたりといった、情報共有基盤としても役立つシステムがあります。情報管理システムを活用することによって、大幅な効率化が実現するでしょう。
運輸での業務改善事例
運輸には、人を運ぶ旅客輸送とモノを運ぶ貨物輸送があります。また輸送手段として、陸運、空運、海運に分類することもあります。
運輸の物流業務改善は、空港手荷物の仕分けラインの事例や、さまざまな業務で活用できる情報管理システムの導入事例を確認すると、学べる工夫があるでしょう。
空港手荷物の仕分けラインでは、離陸までの限られた時間内に間違いなく仕分けを行う必要があります。そのため、バーコードタグとコードリーダを活用して自動化されています。手荷物を流すコンベアに6台のコードリーダをトンネル状に取り付け、バーコードタグが荷物のどこに付けられていても高速で読み取れるようにされているのです。
予算的な問題などで大がかりな機械化が難しいといった場合は、情報管理システムを活用するだけでも大幅な改善になるのでおすすめです。運輸の業務では、荷主とのコミュニケーションロスや、過去の申請内容について共有やテンプレート化がされていないといったことが原因になり、発生しているトラブルも少なくありません。
クラウド上で情報や資料を共有できるシステムを導入すれば、荷主側に逐一 問い合わせをしなくて済むため、時間短縮になります。過去の申請内容などを「フリーワード検索」で調べられる機能があれば、担当者が変更した場合もスムーズに引き継ぎができるでしょう。効率的に物流業務の改善を行いたい場合は、情報管理システムの導入を検討してみましょう。
まとめ
物流業務の改善では余計にかかっているコストやミス、3Mを削減し、作業を効率化していくことが必要です。
そのためには、業務の自動化や作業工程の適切な管理を行うことが重要な役割を果たします。まずは現状の作業を洗い出し、ムダが発生していないかということや、機械化や情報管理システムの導入で効率化できる工程がないかを探してみましょう。
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