商品管理に欠かせない在庫管理表は、エクセルで作成すればコスト面を抑えられるというメリットがあります。エクセルをインストールしている企業は多いため、商品管理のために追加のコストをかけることなく始められるのです。

エクセルを用いた商品管理について、在庫管理表の作成に便利なエクセル関数や、商品管理を運用する際のポイントをご紹介します。

在庫管理表とは

在庫管理表とは、在庫についての情報を把握するための表です。在庫の個数や商品情報だけでなく、入荷や出荷の日時、移動させた記録などを記載することで、正確な商品管理をできるようになります。

在庫の情報が正しく商品管理されていると、商品の入荷不足で在庫切れになることを防いだり、賞味期限や有効期限などを可視化してチェックしたりということが簡単にできるようになります。

在庫管理をエクセルで行うメリット

エクセルを用いて管理表を作成し、商品管理を行うと、コスト削減やペーパーレス化といった面においてメリットがあるでしょう。エクセルで在庫管理を行うメリットを3つ解説します。

商品管理のコストを抑えられる

商品管理のコストを抑えられるということは大きなメリットです。商品管理用に新しいソフトやサービスを利用すると、導入費用がかかってしまいます。エクセルなら多くの会社のパソコンで、既に搭載されている場合が多く、余計な費用をかけずに在庫管理表を作成できるのです。

ペーパーレス化や業務効率化につながる

紙媒体の在庫管理表を使用して商品管理をしている場合は、エクセルで管理することによってペーパーレス化することができます。紙の管理表よりも入力や編集がしやすく、業務効率化につながるでしょう。紙の資料のように紛失や破損のリスクが少なく、バックアップの保存も簡単にできます。

従業員が使いやすい

従業員に使いやすいツールを選ぶことは、スムーズな業務進行のために重要です。エクセルは従来から業務で使われてきたソフトであるため、ビジネスパーソンなら使った経験がある人が多く、操作に慣れている場合が多いため安心です。在庫管理表をスムーズに作成でき、操作方法がわからないなどといったトラブルを防ぐことができます。

エクセルを使った在庫管理表2つのタイプ

エクセルを用いて商品管理をする場合、在庫管理表は大きく分けて「単票タイプ」と「在庫移動表タイプ」の2種類が作成可能です。それぞれのメリットや注意点について詳しく解説します。

単票タイプ

単票タイプは「吊り下げ票タイプ」とも呼ばれる種類で、従来より商品管理の現場で使用されてきた紙の吊り下げ票と同じ形式でエクセルに起こした管理表です。商品について在庫数や入出庫の状況を正確に把握して管理できます。

メリットは、作成と運用が非常に簡単な点だと言えるでしょう。複雑な操作は無く、日付や数字を入力していくだけなので、パソコンに苦手意識がある人でも作りやすい管理表です。備考や担当者といった、1つの商品に関わるさまざまな情報を記録しておくこともできます。

ただし、扱っているアイテムの数が多い会社は、デメリットを感じるかもしれません。原則的には1つの商品を対象にしている表であるため、各管理表だけ見ても在庫状況全体を把握することはできないのです。

1つの表で複数の商品管理をしたい場合は次の「在庫移動表タイプ」を検討するとよいでしょう。

在庫移動表タイプ

在庫移動表タイプのメリットは、複数の商品がある場合も在庫を一元管理でき、管理表の一画面を見るだけで全体の商品管理を把握できる点です。全体の在庫数や入出荷数をダイレクトに確認できます。扱うアイテムの数が多い場合は、単票タイプよりも使いやすく感じるでしょう。

しかし、単票タイプのように1つの商品について多くの情報を入力しておけないのはデメリットです。単票タイプのように、担当者名や備考などメモしておきたい情報を入力する欄がつくりにくく、不便を感じることもあります。

また、1つのエクセルシートに膨大なデータを入力することになるため、ファイルが重くなるリスクもあるでしょう。管理上のトラブルになるケースもあるので注意が必要です。

単票タイプの在庫管理表の作り方

単票タイプの在庫管理表について作り方の手順を紹介します。

管理したい項目を入力する

「品番」、「商品名」、「日時」、「繰越残高」を縦に入力し、「日時」から横方向に「入庫」「出庫」「残高」を入力します。他にも情報を記載しておきたい場合は「担当者」「備考」の項目も作りましょう。

繰越残高の下に、日付を入力していきます。

管理したい項目を入力する

残高を管理する関数を入力する

D5セルに先月末の残高を入力し、D6セルに関数「=D5+B6-C6」(繰越残高+翌日入庫―出庫)を入力します。

残高を管理する関数を入力する

D6のセルをドラッグして、D7以降にもコピーします。

D6のセルをドラッグして、D7以降にもコピーします

日々の商品の入出庫を記録していく

入出庫が発生したら、該当の日付のB列に入力していきます。D例の数値にはエクセル関数が働くので、自動で残高の変化が記録されます。

日々の商品の入出庫を記録していく

表に罫線を入れたり項目の文字を中央揃えにしたりして整えれば、より見やすい在庫管理表になるでしょう。

表に罫線を入れたり項目の文字を中央揃えにしたりして整えれば、より見やすい在庫管理表になるでしょう

在庫管理表の作成で使えるエクセル関数一覧

在庫管理表にはエクセル関数を活用すれば、数字を自動計算できて便利です。手動で計算するよりも間違いなく効率的に管理できるようになります。商品管理に活用できるエクセル関数を紹介します。

VLOOKUP関数

VLOOKUP関数は、シートを検索して条件に対応した値を抽出できる関数です。

在庫管理表とは別のシートからほしい値を抽出できるので、ひとつずつ値を手入力しなくてもよくなり、ミスや作業時間を減らせます。入庫管理表や出庫管理表のシートから数値データを抽出するような場合に活用できます。抽出した入庫数と出庫数の差を求めることで、正確に在庫数を算出することができるのです。

IF関数

IF関数は、指定したセルや範囲内の値が条件に当てはまるか否かで、表示する値を変えることができる関数です。

発注のタイミングなどを知らせるアラームなどに活用できます。指定した在庫数を下回っている日には「発注してください」と表示する欄を作っておけば、発注忘れを防ぐことができて便利です。

SUMIF関数・SUMIFS関数

条件を指定し、その条件に合った数値だけを足し算できる関数です。条件を1つ付けたい場合はSUMIF関数を、複数付けたい場合にはSUMIFS関数を利用します。

商品管理でSUMIF関数やSUMIFS関数を有効活用すれば、特定の条件の商品がどれぐらい売れているかなどを算出でき、確認に役立ちます。在庫管理表でも、同じ商品をいくつかのロケーションに置いているといった場合など、合計した在庫数を簡単に算出できて便利です。

エクセルの在庫管理表を運用する際のポイント

エクセルの在庫管理表を共同で編集する場合は、作業者によって異なる表記をしてしまわないようにルールの制定が必要です。また、データ破損などのリスクに備えてバックアップを取る習慣をつけておきましょう。エクセルの在庫管理表を運用する際のポイントを紹介します。

運用ルールを決める

エクセルで在庫管理表を作って商品管理を行う場合は、運用ルールを決めておきましょう。特に、複数の従業員が共同で編集する場合は、作業する人によって異なる表記をしてしまうと、正しく算出されないといったトラブルにつながります。

在庫管理表に入力する担当者を決めたり、入力するタイミングや表記方法を統一したりといったことを運用ルールとして制定し、共有しておきましょう。運用の初期段階のうちにマニュアルを作っておくとよいでしょう。

バックアップを取る

在庫管理表をエクセルで運用する場合は、定期的にバックアップを取る習慣をつけておきましょう。会社のパソコンや社内サーバーでトラブルが発生した場合、データが消えてしまう、復旧までアクセスできなくなるといったリスクが考えられます。

日ごろから定期的にバックアップを取ることで、万が一の事態が発生しても、被害を抑えることができます。

クラウドのエクセルの利用

会社のパソコンにエクセルが搭載されていない場合は、クラウドサービスMicrosoft 365のエクセル無料版を利用するという方法もあります。無料の Microsoft アカウントを作成すればすぐに開始できて便利です。インターネットに接続すれば、どこからでもアクセスできる点もメリットでしょう。

クラウド版のエクセルでもデスクトップ版のエクセルで使えるほぼすべての機能が利用できます。在庫管理表も「単票タイプ」「在庫移動表タイプ」どちらの作成でも可能です。

在庫管理はシステムの利用もおすすめ

エクセルで作成した在庫管理表を活用すれば、コストを押さえた商品管理ができるでしょう。

ただし、同時編集ができないといった点はデメリットで、不便を感じる人もいるようです。また、リアルタイムの反映が難しいため、常に最新の状態を保っていることは困難です。確認したい時にリアルタイムの在庫数に更新されていないと、入荷のタイミングなどを把握することが難しい場合もあります。データ量が増えると動作が重くなってしまうこともあります。

エクセルの在庫管理表に使いにくさを感じた場合は、商品管理システムを利用することもおすすめです。複数の拠点で商品管理している場合にも在庫の把握がしやすくなり、膨大なデータもスムーズに処理して管理できます。

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