国は日本企業へのDXを推し進めてはいますが、既存システムの刷新やビジネス変革に対する抵抗感などにより未だ進んでいないのが現状です。DX推進が停滞する現状に危機感を持った経済産業省は、DX推進度を自己診断できる「DX推進指標」を作成しました。
DX推進指標を活用することで客観的な診断ができ、より効率的なDX推進を図ることが可能になるでしょう。今回はDX推進指標の概要や構成する指標、自己診断の活用方法について解説します。ぜひ、参考にしてください。
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DX推進指標とは
DX推進指標とは、自社のDX進行度を自己診断できるツールとして経済産業省が作成した指標のことです。経営者やDX推進に関わる社員がDX推進における現状や課題を共有し、次の行動に繋げるための機会を提供する役割を果たします。
DX推進指標は、DX推進における重要な着眼点を35の項目に分けて取りまとめたものです。35個の各診断項目について、経営部門が中心となり、事業部門やDX部門などDX推進に関わる全ての担当者が議論を重ねながら回答していくことを想定しています。
DX推進指標を活用することで、自社のDX推進度がどの段階であるのか、次に行うべき行動が明確になり、DX推進が加速する効果も期待できるでしょう。
「DX推進指標」とそのガイダンス
DX推進指標 自己診断結果入力サイト
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DX推進指標が作られた背景
DX推進指標が作られた背景には、日本企業のDX推進が世界的にみて遅れを取っていることが挙げられます。DX推進には、デジタル技術とビジネス、両方の知識を持って取り組まなければなりません。
しかし、レガシーシステムが弊害となっている場合や自社のビジネスモデルの変革に対する抵抗感から、DXの推進にブレーキがかかっている企業もあります。また、顧客、取引先などのステークホルダーと経営者との対話が不十分であることにより、支障をきたしている事例もあるようです。
総務省が2021年に公表した情報通信白書では、約6割の企業が「DXを実施していない、今後も予定なし」と回答しました。経済産業省は、この結果に危機感を高め、企業の経営者のDXに対する意識の向上を目的に、自己診断が容易に可能なDX推進指標を作成したという背景があります。
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DX推進指標を活用するメリット
DX推進指標は、経営者を中心にDX推進に関わる全ての人で議論を重ねることで評価を行っていきます。そのため、DX推進に対する認識共有が容易になるでしょう。
また、指標を用いることにより次に行うべき行動が明確になりやすく、アクションに対する議論が容易になることで実際の行動に繋がりやすくなるメリットも挙げられます。
DX推進指標を用いた自己診断は、定期的に診断を行うことが重要です。前回との結果を比較でき、自社のDX推進の取り組みについての進捗状況が把握しやすくなるでしょう。
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DX推進指標を構成する指標
DX推進指標を構成している指標や、DX推進指標を用いて自己診断を行ったDX推進先行企業やDX認定企業の特徴について解説します。
定性指標と定量指標
DX推進指標では、「DX推進のための経営のあり方、仕組み」、「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の大きく2つの診断対象に分けられています。
2つの項目どちらにおいても定性指標、定量指標と呼ばれる指標を用いて診断を行っていきます。定性指標は目に見えないものを評価、定量指標とは数字で表せるものを評価していく指標です。以下の表で、詳しく解説します。
定性指標 | ・成熟度を6つの段階で評価 ・議論を重ねることで共通認識を図るべく、関係者との協議の上回答 ・関係者が自己診断を完了したうえで、それを元に議論する場合も有効 |
定量指標 | ・成熟度を数値で評価 ・自社のDX推進において、ベンチマーク指標を選定 |
DX推進のための経営のあり方、仕組み
「DX推進のための経営のあり方、仕組みに関して」は、「DX推進の枠組み」、「DX推進の取り組み状況」2つの枠組みで定性指標、定量指標を用いて評価を行います。わかりやすく、表で解説していきましょう。
DX推進の枠組み (定性指標) | ビジョン |
経営トップのコミットメント | |
仕組み | |
事業への落とし込み |
DX推進の枠組みでは、定性指標を用いて経営者のリーダーシップの発揮度合いや組織体制の整備状況、事業での推進状況を評価していきます。
DX推進の枠組みの項目の中でも、「経営者が自ら回答することが望ましい」とされているものはキークエスチョン、「経営者が経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門等と議論をしながら回答する」とされているものはサブクエスチョンに分類されているようです。
DX推進の取り組み状況 (定量指標) | DXによる競争力強化の到達度合い |
DXの取り組み状況 |
DX推進の取り組み状況では、定量評価を用いることでDXによる経営上の変化や企業内への浸透度合いを数値化した上で診断を行っていきます。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表している「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート」では、DX推進指標の構成が詳しく解説されています。ぜひ、参考にしてみてください。
DX 推進指標 自己診断結果 分析レポート (2021 年版)
DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築
DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関しても、「枠組み」や「取り組み状況」の2つの分類に分けられ、それぞれ定性指標、定量指標で診断を行います。定性指標、定量指標で診断する項目に関しては以下の表の通りです。
ITシステム構築の枠組み (定性指標) | ビジョン実現の基盤としてのITシステムの構築 |
ガバナンス・体制 | |
ITシステム構築の取り組み状況 (定量指標) | ITシステム構築の取り組み状況 |
企業が持つビジョン実現のため、自社のITシステム構築に関する課題を認識し、その課題に対して対策を行うなどの行動ができているかどうか、またIT投資の際の技術的負担を減らし、その分新たな価値創出への資金、人材配分が適切に行えているかどうかを診断します。
定性指標で診断する2つの項目に関しては、経営者自身が診断するべきキークエスチョンとしても挙げられています。DX推進におけるITシステムの対応状況や、DX推進に必要である組織体制の整備状況に関して、経営者であるトップの人間がリーダー意識を持って診断を行うことが重要になるでしょう。
先行企業やDX認定企業の特徴
IPAが公表した分析レポートでは、先行企業と呼ばれる「DXを全社的取り組みとして行っている企業」や国が定める「DX認定制度」の認定を受けた企業の特徴についてまとめられています。
同レポートでは、先行企業、非先行企業、DX認定企業の定性指標を用いた成熟度レベルの比較をしています。以下の表を参考に、解説していきましょう。
非先行企業 | 先行企業 | DX認定企業 | |
DX推進の在り方・仕組み | 1.56 | 3.51 | 2.66 |
DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築 | 1.68 | 3.46 | 2.61 |
先行企業やDX認定企業は「DX推進の在り方、仕組み」の数値が高い一方、非先行企業に関しては「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の数値が高い結果となりました。この結果から、先行企業やDX認定企業では、ITシステムの構築に比べ、経営視点でのDX推進意識が高いと考えられます。
DX 推進指標 自己診断結果 分析レポート (2021 年版)
DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度)
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DX推進指標で自己診断する際のポイント
DX推進指標は主に定性指標と定量指標を用いて自己診断されます。性質が異なる指標のため、診断をする際にはポイントや注意点を押さえておきましょう。
定性指標と定量指標を用いて自己診断する際のポイントについて解説します。
定性指標
定性指標は数値化されない指標のため、抽象的な表現になりやすく、認識のズレが生じる可能性もあります。担当者間での共通理解が深まるよう、各項目を判断した根拠やエビデンスを示す必要があるでしょう。新旧の組織図や予算・人員配分の推移などがエビデンスとして活用可能です。
定量指標
定量指標は、DX推進やITシステムの取り組み状況を把握するために、DXを推進する目的や状況に応じて自社独自の指標を選択していきます。選択した指標を用いて測定する期間を設定し、進捗状況を確認することで、その結果に応じた行動に繋げていきましょう。
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DX推進指標の自己診断結果を活用しDXを進める方法
DX推進指標の自己診断を活用しDXを進めるには、まず、「『DX推進指標』とそのガイダンス」を一読し、DX推進の流れや課題を明らかにすることや、成功事例の把握、ベンチマークとの比較をする必要があるでしょう。
それぞれの方法に関して、詳しく解説します。
「DX推進指標」とそのガイダンス
DX推進指標を元にDX推進の流れを把握する
まずは、「『DX推進指標』そのガイダンス」や「デジタルガバナンス・コード2.0」の内容を理解するところから始めましょう。デジタルガバナンスコード2.0とは、「DX推進ガイドライン」の内容を含めた「デジタルガバナンス・コード」の改訂版です。
経済産業省が取りまとめたこの2つの文書は、DX推進における概要や流れがわかりやすくまとめられています。内容把握を深めることで、DX推進におけるやるべき行動が明らかになりやすいでしょう。
自社におけるDX推進における課題を明確にする
次に、自社におけるDX推進時の課題を明確にしていきます。自社が抱える課題や問題点が明らかになった後は、改善が可能であると考えられるところをリストアップしていきましょう。
DX推進指標を活用し、自社のDX推進状況の確認を行っていくことで、現在抱える課題の明確化が容易になります。
参考になるDXの成功事例を把握する
日本国内に留まらず海外企業のDX推進事例が多く公表されています。DX推進に成功した企業が、どのようにDXを進めているのかを参考に進めてみてもよいでしょう。
さまざまな業界でDX推進に対する多くの取り組みが行われているため、同業者にこだわらずさまざまな業種の事例を参考にしてみるのもポイントです。業界の中でも、バックオフィス部門は業界問わず取り入れやすい部分が多くあるので、参考にしてみてください。
ベンチマークと比較
DX推進指標におけるベンチマークとは、基準点を設定して自社の経営を評価することです。IPAが公表しているDX推進指標自己診断結果分析レポートで表している数値を、ベンチマークと比較することで、自社のDX推進状況を客観的に見ることが可能になります。
ベンチマークを用いた他社との比較は、自社に足りない部分や遅れを取っている部分などの問題点が明確になりやすいため、課題を明らかにしたい場合にも活用するとよいでしょう。
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まとめ
DX推進指標は、DX推進に停滞感を感じている企業に活用すべき指標であるといえます。自社の経営トップがリーダーシップを図り、DX推進指標を用いた議論や診断を重ねていくことで、自社に即したDX推進の成功が期待できるでしょう。
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