企業内における資産には、大きく分けて「流動資産」と「固定資産」の2つがあります。その「固定資産」の中に、企業のパソコンやサーバーなどの「IT資産」が含まれます。

セキュリティ強化の面においても重要な「IT資産管理」の重要性や方法をご紹介していきましょう。

企業における資産管理とは

企業における資産とは、不動産や現金など金額に換算できるものだけではありません。

企業の資産管理をする上で、「用益潜在力」という考え方があります。目に見えるものだけが資産ではなく、財産価値はなくても将来的に収益を生み出す可能性のあるものや権利、売掛金なども資産に含まれるという考え方です。企業の資産は、用益潜在力を金額化した上で評価されます。

このように企業の資産の種類は多岐に渡るため、適切に管理していく必要があるでしょう。

資産の種類

企業の資産には大きく分けて「流動資産」と「固定資産」の2種類があります。それぞれの資産について、詳しくご説明していきましょう。

1、流動資産

流動資産とは、短期間で現金化できる可能性が高い資産のことで、「当座資産」「棚卸資産」「その他の流動資産」の3種類です。

当座資産とは、預金、受取手形や有価証券などの販売活動を行わなくてもすぐに現金化できる資産のことを指します。

棚卸資産とは、在庫や原材料など販売活動をすることで現金化できる資産のことです。販売活動というプロセスを踏むため、現金化のスピードはやや遅くなります。販売しきれないといった問題が生じる場合もあるため、在庫管理が重要になるでしょう。

その他の流動資産とは、短期貸付金や立替金など当座資産、棚卸資産のどちらにも当てはまらない資産のことです。3つの中で、最も現金化に時間を要します。

2、固定資産

固定資産とは、会社が1年以上の長期間に渡って使用・保有する資産のことで、「有形固定資産」と「無形固定資産」の2種類に分けられます。

有形固定資産とは、土地や建物、機器、車両など目に見える資産のことです。

一方、無形固定資産とは、特許権や商標権などの権利やパソコンにインストールするソフトウェアなど、形を持たない資産のことを指します。

これら2つの権利の中で、建物や機械、ソフトウェアなど年々価値が下がっていく固定資産のことを減価償却資産、土地や法律上の権利など価値が変動しないものは非減価償却資産と呼びます。

資産管理の中でもIT資産管理は重要

さまざまな資産がある中で、企業はそれぞれの資産を適切に管理しなくてはなりません。その中でも、ソフトウェアやハードウェアなどの「IT資産」の管理は特に重要であると考えられています。

IT資産管理を適切に行うことで、セキュリティ対策だけではなく、コンプライアンスの強化につながります。また、企業内のIT資産を正確に把握することで、効率よい運用が期待できるでしょう。

IT資産にはどのようなものがあるのか、具体的にご紹介していきます。

IT資産とは

IT資産とは、企業が保有するパソコンやタブレット、プリンターやスキャナーなどのハードウェア、各端末にインストールされたアプリケーションやソフトウェア、ソフトウェアを使用するためのライセンスのことを指します。

ハードウェアやソフトウェアを誰が、いつから利用しているのかを把握し、ライセンス契約内容の確認および、それが遵守できているかどうか確認することが、今後安定したIT資産の利用のためにも重要になるでしょう。

IT資産管理が重要な理由

企業の規模が増大していくことに伴い、保有しているハードウェアやソフトウェアの数も相対的に増えていきます。管理を十分に行わないと、紛失や盗難、私物化されてしまう可能性が生じるでしょう。

また、IT資産を一括管理することでソフトウェアのアップデートやパソコンの不具合が生じた場合でも速やかに対処が可能です。不明なUSBや外部メモリを許可しない設定にするなど、不正アクセス防止の観点からセキュリティ強化にもつながるでしょう。

固定資産に分類される機器やソフトウェア、ライセンスは毎年減価償却という会計処理が必要です。IT資産管理を実施することにより、減価償却が過不足なくスムーズに行うことが可能となります。

IT資産管理を実施しない場合に起こりうる問題

IT資産の管理を怠ってしまうことで、さまざまな問題が生じます。まず、IT資産の喪失です。

例えば、社員が許可なくパソコンを外部に持ち出した場合に紛失してしまうことが挙げられます。また、ソフトウェアのライセンス規約を遵守せずに利用した場合、継続利用ができなくなったり、最悪の場合、訴訟問題に発展したりする可能性もあるため注意が必要です。

社員が会社に無許可でアプリケーションを利用することを、「シャドーIT」と呼びます。パソコン内のソフトウェアやアプリケーションの管理が不十分になることで、このシャドーITが社内に広がり情報漏洩のリスクが高まるでしょう。

IT資産管理の方法

IT資産管理の方法には、Excelを使用する方法とIT資産管理ツールを導入する方法があります。Excelは多くの企業が利用しているソフトのため、新たなツールの導入は不要です。IT資産管理用のテンプレートを無料で提供しているサイトもあるため、導入はスムーズですが、管理対象のIT資産が増加するたびに項目や計算式を追加したりなど、長期的に見て担当者の負担が増大してしまうのが難点といえるでしょう。

IT資産管理を行うには、専用ソフトの導入がおすすめです。製品によって機能に違いはありますが、IT資産をまとめて管理できることや、ライセンス状況やハードウェアの使用状況の把握をより効率的に行うことができます。担当者は、管理台帳と現物確認のデータが一致しているかどうかを確認するだけで管理が行えるため、負担の軽減にもつながるでしょう。

IT資産管理ソフトを導入するべきケース

IT資産管理ソフトを導入するべきケースとして3つのものが挙げられます。さまざまなメリットがあるため、以下のケースを参考に導入を検討してみましょう。

1.担当者の負担軽減を図りたい

企業内における固定資産の種類はさまざまで、IT資産だけでも莫大な量です。今後更に増えると予想されるIT資産の数や使用状況を手作業で管理するには担当者の負担は大きく、管理が不十分になる可能性も高まります。企業内のIT資産の管理に余裕がない場合は、ソフトの導入をすることで業務の効率化や負担軽減につながるでしょう。

2.コスト削減を図りたい

現在保有している機器の数、ソフトウェア、ライセンスの利用状況などを全容把握することは、コスト削減につながります。機器の購入タイミングを誤ったり、不要なライセンス契約の継続等を未然に防止、無駄な出費を減らすことができるので、効率的にIT資産管理を行いながらコスト削減を図りたいと考える企業は導入するべきでしょう。

3.セキュリティの強化を図りたい

企業において、機密情報流出や個人情報漏洩の対策をすることは大変重要です。IT資産管理ソフトの多くは、各アプリケーションが最新であるかどうか、脆弱性の高い機器の特定、許可されていないUSBメモリや外部デバイスを機器が認識できないよう設定できるなどのセキュリティ対策機能が搭載されています。効率のよいセキュリティ対策を講じたい場合は、導入を検討してみるとよいでしょう。

IT資産管理ソフトの代表的な機能

IT資産管理ソフトには、さまざまな機能が搭載されています。代表的である3つの機能についてご紹介しましょう。

1.IT資産を情報収集し運用を最適化する機能

IT資産に関する基本的な情報はもちろん、使用している部署や使用者に関する情報などを入力し、台帳を作成することで管理できます。IT資産の型番や使用履歴などのインベントリ情報も自動で入力され、導入当初と現在の状態を照合ができるため、担当者の業務負担を軽減したり、いち早く問題を発見・解決したりすることも可能です。

2.ソフトウェア・ライセンス管理機能

インストールしたソフトウェアの情報やライセンスの利用状況を把握し、適切に管理する機能です。品番やバージョン情報をソフトウェア辞書に登録しておき、必要に応じて最新版との照合を実施することで過不足を確認することができます。

また、ライセンスを自動集計し、管理台帳に利用状況を記録する機能もあります。ライセンスの過不足が生じないよう、適切な購入量の選択や無駄なライセンスの解約も可能です。

3.セキュリティ対策強化機能

セキュリティ対策機能として、アプリケーションのインストールや外部デバイスなどを制限する機能があります。制限をかける項目や対象は、自由に設定可能です。アプリケーションに対して、実行を禁止する推奨リストを提供しているソフトウェアもあります。

また、パソコンの操作ログ機能や、セキュリティパッチの適用、サーバーやシステムの不正利用がないかを定期的に確認する死活管理機能も搭載されています。

IT資産管理ソフトの選び方

自社に見合ったIT資産管理ソフトの選び方3つのポイントをご紹介します。

1、エージェント型かエージェントレス型か
エージェント型

コンピュータに「エージェント」と呼ばれる常駐プログラムをインストールすることで、情報収集や操作制御が可能となります。拡張性が高く、多くの機能を求めるのであればエージェント型がおすすめです。

エージェントレス型

「エージェント」を使用せずに、情報を収集します。システムの変更なく導入可能であるものの、エージェント型に比べて機能は限定されているため、システム導入の手間を軽減したい企業におすすめです。

2、導入形態
オンプレミス型

オンプレミス型とは、ソフトウェアを自社のサーバーにインストールして使用する形態です。クラウド型と比較し金銭的・時間的なハードルは高いものの、自由度の高いカスタマイズ性、高度なセキュリティが期待されます。

クラウド型

ソフト提供会社のサーバーを使用する形態のため、初期費用を抑えながら運用を開始できるのが特徴です。セキュリティ対策が万全でない点と、カスタマイズ性の低さが欠点ですが、バージョンアップは、ソフト提供側で自動で行われます。

3、必要な機能が揃っているか

各ソフトウェアが提供する機能は、会社ごとにさまざまです。まず、自社に必要な機能を整理し、それに見合った機能を搭載するソフトウェアの導入を検討しましょう。必要な機能がなかった場合でも、オプション機能で不十分さを補える場合もあります。また、万が一に備えてのサポート体制が充実しているかの有無も確認するといいでしょう。

まとめ

IT資産管理は、コスト削減やセキュリティ強化に大変有効です。しかし、企業内における膨大なIT資産の管理をするには、担当者の負担は大きく、適切な管理は難しいといえます。まずは、必要な機能をリストアップし、自社に見合ったIT資産管理ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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