食品ロスの削減と食料支援を同時に実現する「フードバンク」は、廃棄される可能性のある食品を有効活用し、困窮者や福祉施設に届けるシステムとして注目を集めています。しかし、具体的にどのように寄付すればよいのか、また、どのような団体を選べばよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、フードバンクへの寄付方法や、寄付先として選べる代表的なNPO法人、そして適切な団体の選び方についてご紹介します。

フードバンクとは

フードバンクとは、本来なら廃棄されてしまう可能性のある食品を有効活用するシステムです。品質には問題がないものの、さまざまな事情で利用されなくなった食品を集め、食事に困っている人々に提供します。

具体的には、食品企業や農家、一般家庭などから寄付された食べられる状態の食品を受け取り、それらを経済的に苦しい家庭や、児童養護施設をはじめとする福祉施設などに配布します。

このように、フードバンクは食品ロスを減らしながら、同時に食料支援を必要とする人々をサポートする役割を果たしているのです。

フードバンクへ寄付する2つの方法

フードバンクへの寄付方法には、食品の寄付と金銭的な寄付の2種類があります。それぞれの特徴と注意点を見ていきましょう。

食品を寄付する

食品寄付の際は、各フードバンク団体の受け入れ基準を確認することが重要です。一般的な条件として、賞味期限が1か月以上残っている未開封品で、外装が破損していないものが求められます。

特に必要とされている食品

以下のような食品は長期保存が可能で、多くの人々に適しており、特に必要とされている食品です。

・米
・乾麺
・缶詰、瓶詰
・レトルト食品
・インスタント食品
・調味料
・海苔
・ふりかけ
・お茶漬け
・お菓子

寄贈が不可能な食品例

次のような食品は寄贈できない場合があるので事前に確認するとよいでしょう。

・包装、外装が開封済みのもの
・包装、外装が破損や汚損しているもの
・包装、外装と中身が違うもの(お米を除く)
・賞味期限や原材料の表記がないもの(砂糖・塩を除く)
・賞味期限が切れるまで1か月未満のもの
・アルコール飲料
・医薬品
・保健機能食品(サプリメントなど)
・生鮮食品
・冷蔵・冷凍食品
・ペットフード
・経口栄養剤

上記のほかにも、日本語の食品表示がない食品は受け付けていない場合もあります。

お金を寄付する

金銭的な寄付も、フードバンクの運営に大きく貢献します。振り込み、クレジットカード決済、銀行引き落としなどの方法で寄付が可能です。単発寄付と継続寄付の2種類があり、特に継続寄付は安定的な支援につながるためおすすめです。

フードバンクでの寄付金の使われ方について

寄付金は主に以下の用途で活用されます。

・必要な食品の購入
・倉庫の維持費
・食品の配送料
・スタッフの人件費
・広報活動費

金銭的な支援により、フードバンクは必要に応じて適切な食品を購入できる柔軟性が生まれます。また、倉庫代や配送料など、運営に欠かせない経費もカバーすることが可能です。こうした支援により、フードバンクの活動がより効果的に運営されることが期待できます。

フードバンクへ寄付するメリット

フードバンクへの寄付には、支援する側と受給する側の双方にとって、さまざまなメリットがあります。

支援する側のメリット

支援する側にとって、食品ロスの削減は大きなメリットです。企業や農家、個人が余剰食品を寄付することで、廃棄にかかるコストを抑えられます。特に企業にとっては、社会貢献活動の一環として捉えることができ、CSRの観点から消費者や株主へのアピールにもなるでしょう。

また、行政の観点からも、フードバンクの活用は重要な意味をもちます。食品廃棄物が減ることで環境への負担が軽減されるほか、災害用など自治体が保管している食料の有効利用にもつながります。これにより、無駄な廃棄を減らし、資源の効率的な活用が可能になるでしょう。

受給する側のメリット

受給する側にとっても、フードバンクの利用は大きな助けとなります。食費の節約が可能になるだけでなく、その分のお金を他の用途に充てることが可能です。例えば、児童養護施設では教育資材の購入に、母子家庭では子どもの教育費や将来のための貯蓄に活用できます。これにより、経済的な自立を促進する効果も期待できるでしょう。

寄付先のNPO団体の選び方

フードバンクへの寄付を考える際には、まず自分がどのように社会貢献したいかを明確にしてから、適切なNPO団体を選択することが大切です。フードバンクによって、現金や食品など受け付ける寄付の形態が異なる場合があります。

寄付先を決める上で重要なのは、寄付に失敗はないという考え方です。寄付とは自分の思いを誰かに委ねることであり、良し悪しや成功・失敗の概念はありません。

寄付の魅力は、信頼性、活動内容、実績、挑戦、コミュニケーションなど、多様な価値観の中で何に自分の思いを託すかを選べることです。個人の経験に基づいて選択するのも素晴らしい方法です。

寄付先を選ぶ際には、以下のような基準で選ぶことが推奨されています。

・信頼できる団体を選ぶ
・自分が問題だと感じる課題に取り組む団体を支援する
・寄付金の使途が明確な団体に寄付する

上記の基準はあくまで一例ですので、これらを参考に自分に合った方法で寄付先を選ぶことが大切です。自分の価値観や目的に沿った団体を見つけることで、より意義のある寄付活動につながるでしょう。

フードバンクに寄付できる代表的なNPO法人

ここでは、フードバンクに寄付できる代表的なNPO法人を5つご紹介します。

認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ

むすびえ(※1)は、全国のこども食堂をサポートしています。こども食堂とは、地域の子どもたちに無料や安価で食事を提供する場所のことです。むすびえは、これらの食堂に食材や運営のサポートを行い、子どもたちの食と居場所を守る活動をしています。また、こども食堂の実態調査や研究を行い、その結果を広く公開することで、社会全体の理解を深める役割も果たしているのです。

認定NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン

日本初のフードバンクとして知られているセカンドハーベスト・ジャパン(※2)は、次の4つのプログラムを中心に活動している団体です。

・ハーベストセントラルキッチン
・ハーベストパントリー
・フードバンク活動
・政策提言と発展

多くの企業や団体からの支援を受け、セカンドハーベスト・ジャパンは、フードセーフティネットの構築を目指す「10万人プロジェクト」、新しいスタイルのフードパントリーである「marugohan」、子どもの健全な成長をサポートする「Kids Café」など、幅広いプロジェクトを推進しています。

認定NPO法人フードバンク関西

フードバンク関西(※3)は、兵庫県に拠点を置く非営利団体です。フードバンク関西の活動は、「あつめる」「とどける」「つなぐ」という3つの柱で成り立っています。

まだ食べられるのに、お店や家庭で出番のなくなった食品を集め、食事に困っている人々や、そういった人々を支援する団体に届けます。さらに、余っている食品と食事に困っている人々のニーズをより広範囲で効果的に結びつけるため、多様な組織や団体との協力関係を築いているのです。

また、フードバンク関西は、「兵庫子ども食堂ネットワーク」という組織を立ち上げ、県内の子ども食堂同士がつながり、お互いに助け合える環境づくりを行っています。例えば、コロナ禍では緊急の食品支援を行ったり、年末にはひとり親家庭向けの食品パックを配布したりするなど、その時々の社会のニーズに合わせた活動を展開しています。

認定NPO法人 グッドネーバーズ・ジャパン

グッドネーバーズ・ジャパン(※4)は、国際NGOグッドネーバーズ・インターナショナルの一員です。子どもの権利保護と地域開発を目的とする組織で、現在40カ国以上で活動しています。

グッドネーバーズ・ジャパンは多様な活動を展開しており、生活困窮のひとり親世帯に無料で食品を提供する「グッドごはん」事業や、世界の問題を伝え市民の国際協力参加を促すアドボカシー活動も行っています。さらに、国内の中・高・大学で国際協力に関する講演や講義を実施する開発教育にも力を入れている団体です。これらの活動を通じて、子どもの貧困対策と国際協力への理解促進に取り組んでいます。

認定NPO法人セカンドハーベスト名古屋

セカンドハーベスト名古屋(※5)は、東海地方を中心にフードバンク活動を展開する団体です。本来なら廃棄される予定であった食品を、企業や個人から寄贈してもらい、それを必要としている人々や福祉団体に届けるという重要な役割を担っています。

活動は、「パートナー団体支援」「行政と連携した個人支援」「社会的養護の施設と連携した個人支援」の3つの柱からなり、食品ロスと貧困問題の解決を目指しています。企業からの食品寄付、行政との連携、市民による食品配送といった協力体制のもと、地域社会全体で支え合う仕組みを構築しているのです。また、食品の品質管理やトレーサビリティ確保にも注力し、安全な食品を必要な人々に届けられるよう活動しています。

まとめ

フードバンクへの寄付は、食品廃棄物の削減と食料支援という2つの社会課題を同時に解決するための効果的な方法です。食品や金銭など、自分に合った形で寄付することができ、それぞれに大きな意義があります。寄付先を選ぶ際は、団体の信頼性や活動内容、実績などを考慮し、自分の価値観に合った組織を選ぶことが大切です。

しかしながら、フードバンクで引き取りが難しい品目がある、一度に受け取れる量に限度がある、またなにより調整ややり取りが大変という声も多く聞かれます。こうした課題に対応するサービスとして、Musuteがあります。Musuteでは、そうした面倒なやり取りが不要で、適切なフードバンクへの寄付が可能です。フードバンクへの寄付を通じて社会貢献したいと考えている方は、Musuteの利用を検討してみてはいかがでしょうか。