起こりうる災害に対して、企業は防災備蓄品を準備しておく必要があります。しかし、防災備蓄品には、用意しておくべき量や期限が定められており、管理が煩雑になりがちです。災害時に従業員の命を守るため、適切な防災備蓄品の管理が求められます。
今回は、防災備蓄品管理の必要性や、具体的な管理方法について解説します。防災備蓄品管理をスムーズに進められる便利なサービスや、選定のポイントについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
防災備蓄品には、必要な量を準備すべきであったり、期限が定められていたりします。従業員の命を守ることや事業継続を図るためにも、防災備蓄品の適切な管理が重要です。
防災備蓄品に管理が必要な理由について、詳しく解説します。
大規模震災が発生後3日間は、救助・救援活動を優先させることが必要です。緊急車両の通行の妨げとならないよう、企業は従業員などの一斉帰宅を避け施設などに待機させることが求められています。
また、災害後、ライフラインの寸断によって被災地への救援物資が滞る可能性もあるでしょう。従業員、または来社中の顧客など外部の帰宅困難者が施設内で生活が送れるよう、国は最低3日分の食料や飲料水を備蓄しておくことを求めています。
2011年に発生した東日本大震災でも、首都圏を中心に約515万人の帰宅困難者が発生しました。被災直後の3日間を自分たちの力で乗り越えるためにも、防災備蓄品の管理・運用が重要視されているのです。
防災備蓄品にも、期限があります。幸いにも災害が発生しなかった場合、期限が切れてしまったり経年劣化により使用不可になったりする可能性もあるでしょう。そのため、定期的に期限を確認することが重要です。
非常用に販売されている食料品や飲料水の期限は、5年程度のものが多いようです。また、生活用品として備蓄される簡易トイレにも、最低5年、最大で10年ほどの使用期限が設定されています。ほかにも、懐中電灯やガスボンベなど、経年劣化によって使えなくなったり、事故が発生したりする可能性がある備蓄品もあるため、注意が必要です。
備蓄品の保管場所や状態がわからなくなってしまうことも、防災備蓄品の管理が必要な理由です。防災備蓄品は、各フロアごとに配置されるのが一般的で、従業員に対して個々に配布されるものもあります。
このように、社内のあらゆる場所に点在している状態のため、物品の保管場所や状態がわからなくなる場合も少なくありません。特に、台帳やExcelなど手作業で管理している場合は、現物情報の把握が難しくなるでしょう。
防災備蓄品の1つ1つに期日が設定されていたり、保管場所もバラバラであったりすることで、在庫の入れ替え作業時の負担は大きくなりがちです。備蓄管理担当者は、各フロアごとに回って確認作業を行う必要があり、場合によっては1日がかりの作業となる場合もあるでしょう。
従業員数の増減によって、防災備蓄品の数量を増減する必要もあり、在庫数量の適正管理も求められます。
防災備蓄品を適切に管理するためには、1つ1つのポイントに気を付けながら具体的な方法に沿って進めていくことが重要です。防災備蓄品の種類や量の選定、従業員への情報共有を行った上で、定期的な管理に努めていきましょう。
防災備蓄品管理の具体的な方法に関して、詳しく解説します。
まず、自社にとって必要な防災備蓄品を確認します。非常食や飲料水、トイレットペーパーや簡易トイレ、毛布などが代表的な防災備蓄品として挙げられるでしょう。準備すべき防災備蓄品の種類や数は、自社の業種や地域によって変わります。
例えば、企業が寒冷地に属している場合、冬の寒さに備えて毛布やカイロを多めに準備しておくとよいでしょう。自社にとって必ず必要であるものを見極め、優先順位の高いものから必要かどうかを検討していくのがおすすめです。
必要な防災備蓄品の種類と併せて、量も確認しておきましょう。一般的には、従業員1人につき、1日あたり非常食が3食分、飲料水が3リットル、簡易トイレが5〜7回分必要であるといわれています。いずれも、最低3日分は用意することが必要です。
また、自社に取引先などの外部の人が留まったり、地域の住民が避難したりする場合も想定し、多めに準備しておくとよいでしょう。
防災備蓄品の準備が完了したら、従業員に対して情報共有を行いましょう。物品名や量、保管場所を明確にしておくことで、災害が発生したときの防災備蓄品の活用がスムーズになります。
社内での避難訓練の際に周知したり、マニュアルを作成したりするのも有効です。従業員の災害対応スキルだけでなく、防災に対する意識向上にもつながるでしょう。防災備蓄品に変更があった場合は、マニュアルの更新も忘れずに行うことが重要になります。
防災備蓄品を準備しただけで、満足してはいけません。先ほどお伝えしたとおり、防災備蓄品には期限があります。幸いにも災害が発生せずに期限を迎えてしまった場合、使用せずに破棄をしなくてはならなくなるため、定期的に期限を確認することが重要です。
期限が近づいたものから消費していく「ローリングストック法」を活用したり、保管する場合は期限が短いものを手前に並べたりする方法がおすすめです。物品の期限が記載してある箇所を見えやすくして並べておくのもよいでしょう。
備蓄品は物品の種類によって適切な保管場所があります。非常食や飲料水は高温多湿を避けた場所に保管するなど、パッケージの注意書きに記載されている保管場所を守ることが重要です。急速な劣化を防ぐことにつながります。
また、災害発生時に取り出しやすい位置に保管しておくことも押さえておくべきポイントです。複数の箇所に備蓄品が入った段ボールを設置したり、段ボールの1つ1つに中に入っている物品名を記載しておいたりするとよいでしょう。
膨大な種類・数がある防災備蓄品を管理するのは大変な作業です。担当者の負担や業務効率化を進めるために、防災備蓄品を管理できるサービスを活用するとよいでしょう。ここでは、防災備蓄品を管理するための各サービスについて、詳しく解説します。
従業員の多い企業や不特定多数の人が出入りする企業では、備蓄品の種類や数量が多くなるでしょう。数多くの防災備蓄品を抱えている企業では、防災備蓄品管理代行システムの利用がおすすめです。
在庫確認や商品選定・調達、保管リストの作成やメンテナンスなど、防災備蓄品管理における一連の作業をお任せできます。期限切れによる廃棄を防いだり、防災備蓄管理を効率化し他の業務に注力できたりする効果も期待されるでしょう。
各システムによって提供しているサービスは異なりますが、その分コストがかかってしまうことがデメリットとして挙げられます。管理業務全般を代行してくれるため、商品や保管場所の選定が済んでいる場合、無駄な料金を支払う可能性もあることに注意しましょう。
防災備蓄品管理システムを活用すれば、非常食や飲料水、簡易トイレなど、さまざまな種類の防災備蓄品を一元管理することが可能です。
例えば、防災備蓄品管理システムにより、企業内の存在する物品の名称や期限、数量などをわかりやすくリスト化することで、在庫情報の可視化ができます。離れた場所からでも管理状況を把握できるため、緊急時にも防災備蓄品の在庫状況をリアルタイムで確認し、迅速な対応をとることが可能です。
システムによっては、在庫が少なくなったタイミングで自動的にアラートを発信する機能も有しているものもあります。アラートに対応して順次発注ができるため、適切かつ効率的な管理が可能です。
一般的に企業の物品管理で使用されている物品管理システムや在庫管理システムを、防災備蓄品の管理に活用することも可能です。企業が有する固定資産やオフィス消耗品、文書などを備蓄品と一緒に一元管理できます。
ただし、防災備品は期限管理が必要なものも多く、定期的な入れ替えも必要です。通常の物品管理システムでは、防災備蓄品を管理するための機能が不足している場合があります。
防災備蓄品管理サービスには、多くの種類があります。自社に合ったサービスを導入するためには、目的に合ったサービスの選定、運用コストやサポート体制を確認することが重要です。
防災備蓄品管理サービスを選ぶ際のポイントをみていきましょう。
防災備蓄品管理における自社の目的を明確にした上で、サービスを選ぶことが重要です。各サービスの特徴を理解し、自社の目的に沿ったサービス内容であるのかを比較検討しましょう。
防災備蓄品の管理に多くの費用をかけず、低コストで行いたいと考えている企業も多いでしょう。そのため、各サービスの料金体系の確認も重要なポイントです。低価格であることに注目せず、自社の目的やサービス内容と料金がマッチするかどうか確認をするようにしましょう。
防災備蓄品管理システムに知見のある担当者が自社内にいなかった場合、トラブル発生時の対応に苦慮する可能性もあります。初めてシステムを導入した場合には、不明点やトラブルが発生しがちです。そのような場合に柔軟に対応できるよう、サポート体制の有無を確認しておきましょう。
今回は、防災備蓄品の管理が必要な理由や管理方法、便利なサービスや選定時のポイントについて解説しました。防災備蓄品は、従業員の命を守るために必要な物品です。しかし、準備すべき量があったり、期限や適切な管理方法が定められていたりと、災害備蓄品の管理に大変さを感じている担当者も多いでしょう。
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