貧困に苦しむ子どもたちの増加や、保護者が忙しくて思うように栄養のある食事を用意できないなどの理由から、「こども食堂」という取り組みが注目を集めています。
こども食堂の数は、近年全国的に増えてきていますが、それらは主に地域住民やボランティアなどの協力と寄付によって成り立っているものです。
比較的新しい取り組みのため、こども食堂の活動を知って手助けをしたいと思っても、どのようにサポートすればよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、こども食堂への寄付の方法や、必要とされている食品、こども食堂の抱える課題などについて、くわしくご紹介します。ぜひ参考にしていただき、できることから始めていきましょう。
こども食堂とは、子どもが一人でも安心して訪れることができる、無料または低額の食堂です。地域住民やボランティア、NPO法人などの非営利団体が中心となって運営しており、「地域食堂」や「みんな食堂」といった名称でも呼ばれています。
こども食堂の主な目的は、さまざまな理由により、家族そろって栄養のある食事をとるのが難しい子どもたちに、栄養バランスのとれた食事と共食の機会を提供することです。温かい居場所の提供を目的として独自のイベントを行ったり、学習支援を行ったりしているところもあります。
また、子どもだけでなく大人も利用でき、地域住民のコミュニケーションの場としての役割も果たしているのです。
2012年に東京都大田区の八百屋の一角でスタートして以来、こども食堂の活動は全国に広がり、その数は年々増え続けています。全国こども食堂支援センター・むすびえの報告によると、こども食堂の数は、2023年度には9,132箇所となり、公立中学校数にほぼ並ぶ数になりました。
2022年度からは1,769箇所の増加となっており、これは2018年度の調査開始以降、最も多い増加数です。
引用元:【確定値】2023年度のこども食堂数は「9,132箇所」。公立中学校数とほぼ並ぶ ~2023年度こども食堂全国箇所数発表~(2024年2月更新: 確定値)|特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(※1)
こども食堂の増加の背景には、メディアやSNSで紹介される機会が増えたこと、食育を推進する農林水産省や、地域の民間企業が積極的に支援していることなどがあります。
最初は地域住民を中心に広がりをみせていましたが、最近ではSNSの普及もあり、学生や全国のボランティアが協力できる仕組みも整ってきているようです。
こども食堂の運営は、多くの人々からの寄付によって支えられています。こども食堂へは、お金や食料の他、調理器具などの物品の寄付も可能です。ここからは、こども食堂への寄付の方法について、ご紹介します。
こども食堂の運営は、食材費以外にも場所代や電気代などの諸経費がかかるものです。お金の寄付は、そのような運営資金として役立てられます。
個別の開催場所に直接寄付する以外にも、こども食堂を運営しているNPO、日本全国のこども食堂を広く支援しているNPOを通じて寄付が可能です。1,000円などの少額から寄付を行える団体も多いので、気軽に始められるのではないでしょうか。
寄付方法には「継続寄付」「都度寄付」という2種類の方法があります。それぞれ見ていきましょう。
「継続寄付」は毎月、決まった額を継続的に寄付する方法で、クレジットカードなどを利用した寄付が可能です。継続的に寄付をしたいと思っている人にとっては、寄付のし忘れがないことや、毎回入金する手間が省けるというメリットがあります。
また、安定的な運営が求められるこども食堂にとっても、このような継続的な支援は大きな支えになります。
ただし、小規模のこども食堂に直接寄付をしたい場合は、クレジットカードの自動引き落としや口座振替での継続寄付に対応していないことがあるので注意しましょう。
1回のみの寄付を行いたい場合には、「都度寄付」を選択します。
こども食堂の運営団体のホームページを確認すると、ほとんどのこども食堂では「ご協力のお願い」「寄付金のお願い」といった形で受付先の銀行口座が掲載されています。その口座に送金する形で寄付が可能です。クレジットカード、オンライン決済などを選べる場合もあります。
お金以外に、食料の寄付をするという方法がありますが、食料の寄付には注意点も少なくありません。主な食料の寄付方法3種類と、その注意点をご紹介します。
1つ目は、こども食堂に直接寄付する方法です。ただし、食品は鮮度も大切なので、すでに足りている食品などは寄付できない場合もあります。
こども食堂によっては、ホームページに不足しているものや寄付の受付状況などの情報を記載していることもあります。必要なものを確認したうえで、事前に問い合わせを行ってから寄付するようにしましょう。
こども食堂は、公民館などの公共施設で開催されるケースも多いものです。郵送での寄付の場合、無断で荷物が届いてしまうと施設の使用を制限されてしまう場合があるので、注意が必要です。
2つ目は、NPO・NGO経由で寄付するという方法です。こども食堂に携わっている各地域のNPO・NGO団体に寄付をして、団体経由で開催場所に配布してもらうことができます。
NPO・NGOを経由するため、生鮮食品などの傷みやすかったり腐りやすかったりするものは、寄付ができません。事前に寄付先の団体に連絡をとってから、寄付するようにしましょう。
3つ目は、フードドライブを実施して寄付するという方法です。フードドライブとは、家庭などで買いすぎて消費できなかったり、贈答品としてもらったけれど余ってしまったりした食品を集めて、寄付する取り組みのことです。フードドライブで集められた食品は、フードバンクや社会福祉協議会を通じて、こども食堂や食品を必要としている人たちに届けられます。
フードドライブでは、米や餅、乾麺、缶詰、インスタント食品・レトルト食品、調味料、お菓子などのような比較的日持ちのする食品や飲みものが集められています。賞味期限まで1か月以上、常温保存できるものなどのような条件が設定されている場合もあるので、確認してから寄付を行うようにしましょう。
お金や食料の他に、こども食堂で使われる物品の寄付を行う方法もあります。
こども食堂でよく使われている物としては、食器や調理器具、机、椅子、おもちゃ、学習用品などが挙げられます。ただし、寄付するときは、安全性への配慮が必要です。
また、本の読み聞かせなどのイベントを行っているこども食堂の中には、本の寄贈を受け付けているところもあります。本を寄贈する際には、対象年齢も伝えるとよいでしょう。
食料の寄付と同様、こども食堂のホームページや電話・メールなどで、それらを必要としているのか事前に確認してから、寄付するようにしてください。
寄付以外に、ボランティアスタッフとして支援することもできます。
ボランティアスタッフとして、こども食堂を手伝いたいという場合は、近くのこども食堂を探してみましょう。都道府県や市町村にある、こども食堂の情報をまとめたネットワーク団体のホームページなどで探すとよいでしょう。
手伝えそうなこども食堂が見つかったら、運営者に問い合わせて、どのような支援を必要としているのか、自分にどのような支援ができそうなのかという、擦り合わせを行いましょう。
こども食堂で継続的に必要とされている食品には、どのようなものがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
⚫︎米:主食でもある米は、こども食堂での消費量も多くなります。子どもたちのエネルギー源になり、脳の成長においても大切です。
⚫︎麺類:麺類は子どもたちに人気が高い食べ物です。うどん、そば、スパゲッティなどがあると、料理のバリエーションも広がります。
⚫︎野菜:野菜は彩りも良く、ビタミンやミネラルなど栄養素が豊富です。人参や玉ねぎ、じゃがいもなどは、いろいろな料理に活用できます。普段あまり食べなれないような珍しい野菜も、食育に役立つでしょう。
⚫︎生鮮食品:賞味期限に注意が必要ですが、肉や魚、卵、牛乳などは、子どもの成長に必要なタンパク質も豊富で、大切な栄養源になります。
⚫︎調味料・油など:しょうゆ、塩、砂糖、味噌などの調味料や油も調理に欠かせないものです。カレールーなども使用されています。
⚫︎粉もの:小麦粉、米粉、片栗粉などの粉ものも需要があるでしょう。調理の際に使われるだけでなく、子どもたちとパン作りなどを楽しむこともできます。
⚫︎お菓子・果物:お菓子や果物は、子どもたちに喜ばれます。食事に添えられたデザートも、子どもたちの心を満たしてくれるでしょう。
⚫︎飲みもの:食事の際は飲みものも必要です。お茶のパックやペットボトル飲料なども、水分補給に役立ちます。
食品の寄付をする際には、これらを参考に寄付すると喜ばれるでしょう。衛生面や安全性には十分配慮し、傷みが少なく、新鮮なものを寄付するようにしてください。
全国的にこども食堂が急増している中、その運営にあたっては、さまざまな課題が浮き彫りになっています。
こども食堂の抱える課題としては、まず開催場所やスタッフの確保、安全衛生管理の難しさなどが挙げられます。また、地域の理解と協力も欠かせません。
さらに、こども食堂の運営者にとって大きな課題となっているのが、運営資金や食材の調達の難しさです。こども食堂開催のための費用は、主に寄付と運営者の自己負担でまかなわれています。
そのような背景もあり、運営資金や食料・物品の寄付という形で、こども食堂を支援することは重要な意味を持つのです。
こども食堂は、利用する子どもたちにとって、栄養のある食事と温かい時間を提供してくれるとても大切な場所です。少しずつ支援体制が整ってきているとはいえ、まだまだ課題が多いこども食堂の活動にとって、個人での寄付はもちろん、企業からの支援は大きな支えとなるでしょう。
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