インターネットの普及に伴い、ネットショッピングを利用する人口は急速に増加しています。

インターネット上で取り扱う商品の種類が増えるにつれ、情報が複雑化していることから、商品の情報管理システム「PIM(商品情報管理)」に注目が集まっています。では、PIMとは、いったいどのようなシステムなのでしょうか。

この記事では、PIM(商品情報管理)の概要について紹介するとともに、導入のメリットや注意点についても解説します。

PIM(商品情報管理)とは?

PIMとは、「Product Information Management(プロダクト インフォメーション マネージメント)」の略称です。日本語では、商品情報管理という意味がある言葉です。

PIMは、商品情報に関連するデータを一元管理するプロセスやソリューションを指しますが、単なる商品情報管理システムではありません。

商品に関連するさまざまな情報を一元管理することで、商品情報を必要とする店舗やECサイト、広告やSNSといった多様なチャネルやシステムとの連携を可能にします。

PLM/ERP・MDMとの違い

商品の情報を取り扱うシステムは、PIM以外にも多数あります。たとえば、PLM/ERPやMDMなどです。これらのシステムはPIMとどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いについてみていきましょう。

PLMとは「Product Lifecycle Management」を略した言葉で、「製品ライフサイクル管理」を意味します。製品の企画や設計、生産、販売などの一連の情報を管理し、製品ライフサイクル全体に関わる情報を扱うのが特徴です。

ERPとは「Enterprise Resources Planning」を略した言葉で、「企業資源計画」を意味します。企業のリソースや業務プロセスなど、企業の経営資源を統合的に管理するシステムです。製造資源計画や財務などに対して利用するため、扱うデータは会計情報がメインです。

PIMとPLM/ERPでは、「顧客向け」であるかどうかという点が異なります。PLM/ERPで扱う商品情報は、企業が業務を遂行するためのデータです。一方、PIMは業務を遂行するためのデータとしてだけでなく、商品カタログや商品ページといった顧客への販促として活用することも可能です。

PIMと類似したシステムとして、MDMが挙げられます。MDMとは、「Master Data Management」を略した言葉で、企業全体のマスタデータとなる情報を一元管理するシステムです。MDMでも商品情報を扱いますが、あくまでマスタデータを管理することが目的です。よって、PIMはMDMの一部であるといえるでしょう。

PIM(商品情報管理)が必要となった理由・背景

さまざまな商品管理システムがある中で、なぜPIMに注目が集まっているのでしょうか。

PIMが必要とされる理由と背景には、「デジタル化による購買行動の変化」が挙げられます。インターネットやスマートフォンの普及により、消費者は複数のチャネルを通じて商品を購入することが一般的となりつつあります。

チャネルが増える度にシステムを構築してきたことによって、情報量が増加・複雑化し、データ管理にかかる手間や労力が課題となってきました。

そこで、製品の属性や仕様、画像、価格などの商品情報を一元管理できる、PIMを導入する企業が増えたのです。PIMで商品情報を一元管理することで、消費者に正確な製品情報を提供することが可能となります。

PIMの商品情報を更新すれば、各チャネルの情報も自動更新されるため、トレンドの変化や消費者の需要にもタイムラグなく対応できるようになりました。

グローバル市場に進出している企業では、異なる言語や地域に対応するためのビジネス翻訳ツールとしても、PIMが役立っています。

PIM(商品情報管理)を導入すべき企業の特徴

PIMは商品情報の一元管理に有効ですが、すべての企業にマッチするわけではありません。

ここでは、PIMを導入すべき企業の特徴を紹介します。

  • 製品ラインナップが多岐にわたる
  • 複数の販売チャネルを活用して商品を販売している
  • 新製品の追加や価格変更など、情報更新が頻繁である
  • 商品情報をマーケティングキャンペーンや広告などに活用したい
  • グローバル市場へ進出している、または進出したい

これらはPIMの必要性が高い企業の特徴ですが、業種や販売規模によっても異なります。

一方、限られた商品のみを展開をする企業や単一の市場のみで販売している企業は、PIMの必要性はそれほど高くありません。

しかし、日本のデジタル化は今後ますます進むことが予測されています。そのため、多くの企業がPIMの導入を検討すべきといえるでしょう。

PIM(商品情報管理)導入のメリット

PIM(商品情報管理)を導入することによって、いくつかのメリットが得られます。具体的にどのようなメリットが得られるのかを確認しておきましょう。

商品情報の把握が容易になる

PIM導入の最大のメリットとして挙げられるのが、商品情報を一元管理できることです。

商品の仕様や価格、在庫などのすべての商品情報を共有できるため、どのチャネルからでも正確な商品情報を把握できます。商品情報の一元管理は、データの重複や誤情報の発生防止にもつながるでしょう。

各チャネルごとに情報を更新したり、在庫状況などの問い合わせに対応したりといった業務の負担を軽減できるため、業務効率向上も期待できます。

商品のプロモーション強化

PIMを導入することによって、自社商品のプロモーション強化も可能となります。

新たなユーザーの獲得や売上向上には、キャンペーンや広告などの販促活動が必要不可欠です。これらの販促活動には、PIMで管理している正確な商品情報が役立ちます。

各チャネルの商品情報はPIMから自動的に取得できるため、正確なデータをスピーディーに配信することが可能です。顧客のニーズに合った商品検索ができることは、顧客満足度に繋がり、収益向上にもつながるでしょう。

コスト削減・利益率の向上

商品情報のテキストや画像のデータ形式は、各チャネルごとで異なります。各チャネル用のデータ準備を手作業で行う場合、手間と時間がかかり、多くの人的コストがかかります。

PIMなら、PIMへ商品情報を登録するだけで、連携しているチャネルの情報も一括で登録されるため、各作業にかかっていたコストは大幅に削減できるでしょう。情報更新や修正なども一括で行えるため、ヒューマンエラーによる追加業務も軽減します。

コスト削減は利益率の向上につながるため、企業の成長も期待できるのです。

PIM(商品情報管理)の機能

PIM(商品情報管理)の主な機能として、以下の3つが挙げられます。

  • データ管理機能
  • 検索機能
  • セキュリティ機能

それぞれの機能について詳しく解説します。

データ管理機能

PIMでは、膨大な商品情報を属性ごと、階層ごとに整理・管理することができます。

たとえば、「電化製品」というカテゴリを「洗濯機」や「テレビ」で分類し、さらに下の階層では、「メーカー」「サイズ」といった定義付けをすることが可能です。

どのようなカテゴリで分類し、階層をどこまで掘り下げるかなどは、企業や顧客のニーズに合わせるとよいでしょう。

検索機能

PIMには検索機能も搭載されているため、条件を絞って検索することができ、必要な情報を素早く入手できます。

通常、商品の情報量が多ければ多いほど、必要とする情報の入手に時間がかかります。しかし、PIMでは検索作業に時間をかけずにすむため、次の作業に素早く取り掛かることができるでしょう。

セキュリティ機能

商品情報は企業にとって貴重な資産であるため、情報漏洩やデータ改ざんなどのセキュリティ対策が必須です。

PIMには、アクセス制御機能やユーザー認証機能があり、データのアクセスを制限できます。監査ログによって、システムへのアクセスやデータ変更などの操作が追跡でき、不正行為や改ざんからの保護も可能です。これらセキュリティ機能があることによって、安全性の確保した情報管理が実現します。

PIM(商品情報管理)導入の際のポイント・注意点

PIMの導入によって、商品情報の把握やプロモーション強化など、さまざまなメリットが得られます。しかし、導入時には気をつけるべきポイントがあることも忘れてはいけません。PIMを有効活用するためにも、導入時の注意点を理解しておきましょう。

導入の目的の明確化

PIMを有効活用するためには、PIMを導入する目的を明確にしておきましょう。

導入の目的が曖昧なままでは、正しい製品選定はできません。費用の安さや機能の多さだけで選定した場合、自社が求める機能が備わっておらず、有効活用できない恐れがあります。

導入の目的を明確にした上で、自社のニーズや目的にあったPIMを選ぶことが重要です。

社内での運用が現実的なサービスか確認する

いくら自社のニーズにあったPIMでも、運用ができなければ意味がありません。たとえば、デジタル操作に不慣れな従業員が多い環境では、複雑な操作が求められるシステム運用は現実的ではないでしょう。

直感的で使いやすいインターフェースかどうか、サポート体制の有無など、導入前には社内での運用が現実的かを確認することも大切です。

無料トライアルで使用してみる

操作性や機能性に不安がある場合は、無料トライアルを使用してみましょう。実際に使ってみることで、自社に合ったPIMかが検証できます。

すでに運用している既存システムがある場合は、そのシステムと連携できるかも確認しておくことで、導入後のミスマッチを防ぎましょう。

まとめ

PIMは、商品情報の把握が容易になるだけでなく、プロモーションの強化やコスト削減に役立ちます。社会全体のデジタル化が進み、企業競争が年々激しくなる現代において、PIMは企業に欠かせないシステムとなるでしょう。

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